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サプリメント

5htp

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カルシウム

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栄養素の基礎知識


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漢方薬

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味逍遙散(かみしょうようさん)

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

帰脾湯(きひとう)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

香蘇散(こうそさん)

五苓散(ごれいさん)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

柴朴湯(さいぼくとう)

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

酸棗仁湯(さんそうにんとう)

三物黄ごん湯(さんもつおうごんとう)

小柴胡湯(しょうさいことう)

真武湯(しんぶとう)

疎経活血湯(そけいかっけつとう)

大柴胡湯(だいさいことう)

大承気湯(だいじょうきとう)

大防風湯(だいぼうふうとう)

竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう)

釣藤散(ちょうとうさん)

通導散(つうどうさん)

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

女神散(にょしんさん)

八味地黄丸(はちみじおうがん)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

六君子湯(りっくんしとう)

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

漢方薬の解説


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うつ病

うつ病の原因

うつ病の原因は二つの側面があり、それは「心の問題」と「脳内物質レベル」です。「心の問題」とは、仕事や人間関係などによるストレスや悩みなどがうつ病の原因になる場合です、「脳内物質レベル」は脳内の栄養不足より、セロトニンなどの脳内伝達物質が十分に合成されないため、うつ病になるのです。「気分」は心の持ち方だけでは決まらず、脳内の栄養状態によっても左右されます。

「脳内物質レベル」によるうつ病の原因は3つあります。

  1. 血糖値の乱高下
  2. 栄養素の不足(ビタミン ミネラル 脂肪酸など)
  3. 脳内伝達物質の材料になるアミノ酸の不足(トリプトファン フェニルアラニンなど)

上記3つのうつ病の原因の詳しく解説。

1.血糖値の乱高下

血糖値の乱高下によるうつ病発症のメカニズムは、脳のエネルギーは唯一糖類です、白砂糖や精製デンプンなどの食べると直に血糖値が急上昇する食品(このような食品は高GI食品と呼びます)を摂取しますと、膵臓から多量のインスリンが放出され、今度は血糖値が下がりすぎて脳内がエネルギー不足になります。このため不安やイライラ、疲労、うつ状態などになるのです。

2.栄養素の不足(ビタミン ミネラル 脂肪酸など)

セロトニンやアドレナリンなどの脳内伝達物質は、アミノ酸からたくさんの酵素の働きにより作られますが、これらの酵素はビタミンやミネラルなどの補酵素の助けがないと、働きませんので脳内が栄養不足になると、脳内伝達物質が少なくなり、うつ病になるのです。主にビタミンB群、ビタミンC、亜鉛などです。

3.脳内伝達物質の材料になるアミノ酸の不足(トリプトファン フェニルアラニンなど)

脳内伝達物質の材料はアミノ酸です。これらの材料となるアミノ酸が脳内に供給されないとセロトニンやノルアドレナリンなどが作れずに、うつ病になります。

3種類のうつ病

うつ病にも種類がありまして

・セロトニンが不足すると、気分が落ちこみや不眠、不安、イライラなどの症状がでます。セロトニンの材料はアミノ酸のトリプトファンになります。

・アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンが不足すると、物事に対してやる気がなくなったり、疲労、睡眠の過多などの症状が現れます。これらの脳内伝達物質の材料はアミノ酸のフェニルアラニンとチロシンになります。

・またまれに「フェニルエチルアミン」と呼ばれる脳内伝達物質の不足によりうつ病になる場合があります。フェニルエチルアミンは恋愛中に脳内に多量に方出されるため「恋愛物質」とも呼ばれてまいています。このフェニルエチルアミンの材料は、アミノ酸のフェニルアラニンです。

どのタイプのうつ病の判断は試行錯誤しなければ、判りません。もしアミノ酸のフェニルアラニンを服用してみて、「せき立てられる思い」が出るようであれば「フェニルエチルアミン」は十分であると判断できます。

誤診に注意

鉄不足による貧血の症状はうつ病によく似ているため病院でよく誤診されますので、鉄不足を疑ってもみてください。

またうつ病とされている患者の内3分の1は、躁うつ病(双極性障害)を、うつ病(単極性障害)と誤診されていると言われていますので、注意が必要です。

うつ病の対策

脳内物質レベルでのうつ病の対策としては、興奮脳内伝達物質を補えばうつ病から開放されると考えられます。

「心の問題」でのうつ病の対策としては、「認知療法」が良いと思われます。

うつ病に効果効能があるサプリメント

マルチビタミン・ミネラル

ビタミンB群

サミー

セントジョンズワート

5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)

トリプトファン

フェニルアラニン

チロシン

DHA

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

サミーには脳内伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、アドレナリンを増加させる働きがあります。

セントジョンズワートはドイツでは医薬品として承認されていて単独で服用した場合、副作用が無いため欧米では幅広く使われていますが、、薬理作用の強いサプリメントですので他の薬と併用するのは避けてください、使用する場合はお医者さんとよく相談してください。

5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)は、「グリフォニア・シンプリフォリア」と言うマメ科の植物の種から作られた天然物質で、欧米で抗うつ薬として用いられています。アメリカの栄養療法では5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)を1回50~100mgを1日2回摂取しています。5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)の副作用として5%の人が服用し始めに吐き気をもようしますが、摂取量を減らせば自然と体が適用します。

ビタミンB群は糖をエネルギー変えて脳の神経細胞に供給し、気分の落ち込みから回復させます。またビタミンB6は興奮脳内伝達物質のセレトニンやノルアドレナリンの合成に必要な栄養素ですので、ビタミンB6が不足するだけでもうつ病になります。

アミノ酸から脳内伝達物質が生成されえる過程で多種類のビタミン・ミネラルが必要です、またマルチビタミン・ミネラルを服用することで、三大栄養素の代謝を円滑に進める酵素を十分に働かせることができます。日常の体調を維持するための、予防として服用してください。

DHAは脳の細胞膜を軟らかくして、セロトニンなどの脳内伝達物質を受け取り易くして、脳内伝達物質を効率良く働かせる事ができます。

トリプトファンはセロトニンの材料、フェニルアラニンはアドレナリンとノルアドレナリン、ドーパミンそしてフェニルエチルアミンの材料、チロシンはアドレナリンとノルアドレナリン、ドーパミンの材料になります。

サプリメント以外での予防改善

うつ病は食欲不振になりやすいので、栄養不足にならないように食事の栄養バランスに注意して十分な栄養を摂ってください。脳内伝達物質の材料のアミノ酸を含んだ食品はピーナッツ、バナナ、アーモド、牛乳、チーズ、卵黄、トウモロコシなどですので、積極的に摂ってください。

またうつ病の原因に日光の不足、運動の不足、過剰なストレスなどもありますので、日中十分な日光を浴びながら、散歩などをして心身をリラックスさせてください。

うつ病医療について

うつ病の判断は難しいので、ここでアメリカ精神医学会のうつ病の判断基準を紹介します。

1、自分を価値の無い人間と思い、自分を責めたり罪悪感に襲われる。

2、死や自殺を繰り返し考える。

3、食欲がなく体重が減る、あるいは逆に食欲が増進し体重が増える。

4、睡眠障害

5、何事にも興味が持てなくなる。性欲の減退。

6、身体のエネルギーの消失と疲労感。

7、思考力や集中力の低下。

7項目のうち4つの症状が1ヶ月以上つづいたら「たぶん、うつ病」もし5つの症状が該当すれば「確実に、うつ病」と定義しているのが、アメリカ精神医学会の判断基準です。

最後にお医者さん選びは以下の事に注意しましょう。

1、薬の処方や副作用について説明しない。

2、いきなり3種類以上の抗うつ薬を出す。

3、薬がどんどん増える。

4、薬について質問すると不機嫌になる。

5、薬に頼り薬以外の対応法を知らないようだ。

このようなお医者さんで1年以上たっても改善しない様でしたら、病院を変えることをお勧めします。

また栄養療法を取り入れている病院もお勧めです。その他「心の問題」の解決として、保険が適用されませんが、カウンセリングも受けてみる事も大切だと思います。ヨーロッパのカウンセラーは患者と日常の生活について会話をして、うつ病の原因を探します。探し当てた原因に対して患者の消極的な考えを、積極的な考えに導いていきます。この治療方法を「認知療法」と呼びます。

うつ病に関連する治療法

躁うつ病

躁うつ病(双極性障害)とは

躁うつ病は、エネルギー不足のうつ状態からエネルギーに満ちあふれた躁状態に突然、変化し、ある期間 をへて、再び、うつ状態にもどるというパターンをくり返します。その特徴は、発症と再発が、予測できる 一定のサイクルで起こることです。

躁とうつをくり返すといっても、境目がはっきりしている人とそうでない人がいますし、症状や周期も人 によっていろいろです。躁とうつの期間もさまざまですが、一般に躁の方が短いようです。

ただし、躁状態からうつ状態への1サイクルの時間が、24時間以内に再発するものは低血糖症で、ここ で問題にしている、躁うつ病ではありません。

躁うつ病には、1型と2型の二つがあります。1型の方が、躁が激しいものです。この躁の強さによって 、双極1型、双極2型という分類をされます

1型の躁は、大体の場合、非常に気分がよく、やる気もあり、自分では絶好調のつもりで新しいことを始 めます。しかし、すぐ気が変わり、いろいろなものに手をつけるので、実際の仕事ははかどりません。また 、ささいなことで激怒します。

人によっては、「自分は選ばれた特別な人間だ」とか、「自分はすごい超能力がある」などの誇大妄想、 幻覚・幻聴などが出たりします。

2型の躁は社会生活を営めるくらいの躁(軽躁)で、激しく怒ったり妄想が出たりはしません。眠らなく ても平気で、気分は高揚し、まわりとも活発に交流し、一見何も問題ないように見えます。しかし、「軽躁 」は立派な病的状態なので、注意深く見ると、「ふだんの本人」よりも少し違った感じがします。

本人も、単純に楽しいわけでは決してなく、イライラが募ったり疲れがたまったりしています。はた目か らは楽しそうに見えても、実はかなりのプレッシャーがかかり、無理をしています。1型ほどではなくても 、新しいことを始めたり、ほしいものを次々と買ったり、目移りしたり、話が飛んだり、衝動的だったりし ます。

「分子整合栄養医学」からみた躁うつ病の原因

「分子整合栄養医学」(オーソモレキュラー療法)とは、身体のアンバランス・代謝を改善することによ り、脳と身体に可能な限り最適な生化学的環境を与える治療法のことです。それには、最適な食事と栄養治 療、つまり必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸、酸素、ホルモン、必須脂肪酸など人体にもとから存在す る、天然の物質を利用して行います。

「分子整合栄養医学」からみた躁うつ病の原因は、

1.アセチルコリンの過敏

2.ビタミンB群と魚油の不足

3.バナジウムの過剰

の3つがあげられます。

アセチルコリン過敏が原因で発生する躁うつ病

NIH(アメリカ国立衛生研究所)の研究者は、躁うつ病者は、脳の記憶にかかわる伝達物質であるアセチル コリンに過敏であると報告しています。彼らは、アセチルコリンを受け取るキャッチャーである受容体に着 目したところ、躁うつ病者では、アセチルコリンの受容体が健常者にくらべ著しく増加していることを発見 しました。つまり躁うつ病者ではアセチルコリンが、はたらきすぎるのです。

アセチルコリンの過剰なはたらきを抑えれば、躁うつ病を改善できます。アセチルコリンのはたらきを妨 げる物質の1つは、だれでも脳内に微量に持っているリチウムです。これは、炭酸リチウム製剤として躁う つ病の治療に現在もっとも使われている薬です。しかし、リチウムによる治療には問題があります。

大量に摂取されたリチウムは、アセチルコリン受容体ばかりか、他の受容体のはたらきも妨げるため、気 分、感情、記憶に好ましくない影響を及ぼします。

たとえば、アメリカで行われた健常人を対象にした試験では、リチウムの摂取によって喜びや悲しみの感 受性が鈍くなることが報告されています。

わそれから、リチウムが記憶力を低下させることも判明しています。また、躁うつ病をやわらげるのに必 要とする大量のリチウムの摂取は神経ネットワークに有害で、多くの患者に身体の震えを発生させるばかり か、甲状腺の機能を低下させます。これによって代謝が弱まりエネルギー不足になるので、気分が落ち込ん だり、その反動で脳が興奮しすぎて、心が混乱してしまいます。

リチウムの大量摂取には、このような副作用がともないます。しかしリチウムの代わりに躁うつ病を治療 する物質して、タウリンというアミノ酸があるのです。タウリンは脳内でまるでリチウムのようにはたらき 、なおかつ安全な物質です。抑制性伝達物質のタウリンは、アセチルコリンのような興奮性伝達物質の効果 を相殺します。

しかも躁うつ病者の脳内では、タウリンレベルが極端に低下していることが判明しています。タウリン不 足は、甲状腺の機能を低下させ、眠気、うつ病などを引き起こしますが、この影響は男性よりも女性に大き く、たとえば、躁うつ病の発症率は女性が男性の2倍になっています。リチウムの代替に、1回500ミリ グラムのタウリンを1日3回摂取するのが効果的と思われます。

ビタミンB群と魚油の不足が原因で発生する躁うつ病。

躁うつ病者の80パーセントにビタミンB群の不足が見られます。しかも彼らの多くは、貧血気味で、ビ タミンB12や葉酸のレベルが低いばかりか、健常者にくらべて、脳を興奮させるセロトニンや記憶にかかわる アセチルコリンを適切に働かせるのに欠かせない、イノシトールの取り込み量も少ないです。

ビタミンB群は脳と身体でブドウ糖からエネルギーをATPの形で取り出す時に働く補酵素で、エネルギー生 産には欠かせません。ただし、ビタミンB群が脳ではたらくには、まず、オメガ3脂肪酸(魚油)を主成分と する軟らかい膜を通過し、神経細胞の内側に取り込まなければなりません。

では、脳内でのビタミンB群不足を引き起こす原因はなにか。それは最近、魚を食べる量が減り、神経細 胞の膜を硬くする、牛肉、豚肉、ソーセージ、ピザ、ファストフードからの飽和脂肪酸やマーガリンに含ま れる非天然型のトランス型脂肪酸の摂取量が増えてしまつたからです。このため、膜が硬くなり、神経細胞 が受け取る伝達物質やビタミンB群の量が限られてしまつたからです。

この結果、脳内でのシグナルの伝達に異常が発生してしまうばかりか、ビタミンB群不足のせいでエネル ギー欠乏になり、うつ病が発生することになります。しかし、オメガ3脂肪酸とビタミンB群を摂取すること で、脳内でのシグナルの伝達が正常化し、ビタミンB群の活躍によってエネルギーが脳に充満するので、うつ 病から脱却できるのです。

ここでいうオメガ3脂肪酸(魚油)は、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)のこと で、どちらも脳の神経細胞の膜や伝達物質の受容体の膜の成分ですが、サプリメントとして摂取した場合の 抗うつ効果は、DHAがEPAよりも高いです。これは、DHAのほうがEPAよりも脳の関所である血液ー脳関門を楽 に通過できることとよく一致しています。

バナジウムの毒性が原因で発生する躁うつ病

躁うつ病は、天然のミネラルであるバナジウムの過剰によっても発生します。一流医学雑誌の「ランセッ ト」や「イギリス精神科ジャーナル」には、躁うつ病患者の毛髪や血液中のバナジウムレベルが極度に高い こと、そしてバナジウムレベルの上昇によって、躁状態が引き起こされることが報告されています。

過剰なバナジウムが脳や身体にとっての有毒物質となっているのですが、幸いなことに、大量のビタミン Cの摂取によって、脳や身体が受けたダメージから回復できます。ビタミンCはバナジウムの毒性を軽減する のですが、このしくみはまだ解明されていません。おそらく、ビタミンCが電子をバナジウムに与え、バナジ ウムの酸化状態を下げることによって、その毒性が減少するものと推測できます。

それから、躁うつ病者のビタミンCレベルは、壊血病の発生する直前まで低下していることがあります。 ですので、ビタミンCの補給は必須です。この場合、1日に3-4グラムのビタミンCを3回に分けて服用す ることが推奨されます。

(注意:壊血病(かいけつびょう)はコラーゲン不足によって、血管が切れやすくなり、全身から出血す る病気です。この病気原因を調査している過程で、ビタミンCが発見されました。)

躁うつ病に効果効能があるサプリメント

タウリン

EPA DHA

ビタミンB群

ビタミンC

躁うつ病改善のワンポイント・アドバイス

タウリンは1回150mgを朝食後とタ 食後、1日2回摂取してください。

EPA DHAは1回5ミリリットル(5g) を朝食後とタ食後、1日2回摂取してください。

ビタミンB群は1回250mgを朝食後と タ食後、1日2回摂取してください。

ビタミンCは1回300mgを朝食後とタ 食後、1日2回摂取してください。

躁うつ病とうつ病は違う病気

躁うつ病とうつ病は似ていますが、まったく違う病気です。躁うつ病とう つ病では、症状が異なり脳内での栄養バランスの物質も異なります。

うつ病はトリプトファン、フェニルアラニン、チロシンなどが不足しておこります。またうつ病とされて いる患者の内3分の1は、躁うつ病なのに、うつ病と誤診されていると言われていますので、注意が必要です 。

ストレス

ストレスの原因

ストレスが心身に及ぼす影響についてですが、人がストレスの状況下におかれると人の体はストレスに対処できるような準備状態に本能的に入っていきます。このことは、「闘争・逃走反応」とよばれています。体はストレスに対し総力をあげて、心拍数、筋肉への血液流入量、呼吸数、血圧、エネルギー代謝などを増加させて戦うか又は逃げるかに適した体を作りあげていきます。

ストレスが一時的であれば体は平常の状態に戻りますが慢性的にストレスが続くと、この特殊な状態が持続され、ついには自律神経のバランスがくずれ免疫力を低下させます。この結果、胃痛や便秘、肩こり、食欲不振、下痢など、さまざまな病気が体に起き、感情的にはイライラして攻撃的だったり、落ち込んだり、夜眠れなかったりします。

ストレスが心身に及ぼす影響についてもう少し詳しく説明しますと、人がストレスを感じると副腎からホルモンのコルチゾールとアドレナリンを分泌します。この時、副腎は精子や卵子を刺激するホルモンや成長ホルモンなどの重要なホルモンの生産を少なくします。

コルチゾールは筋肉、リンパ組織、結合組織などからタンパク質をアミノ酸に分解して肝臓に送り。肝臓はアミノ酸をグルコースに変えて、血液にのせて体全体に送りこみます。このようにコルチゾールよって体の細胞が削られ、免疫は弱体していきます。

アドレナリンは「戦うホルモン」と呼ばれて、交換神経を興奮させて心拍数や呼吸数、血圧を高めます、俗に言う「冷や汗をかく」状態です。

こうしたストレスから起きる「闘争・逃走反応」は、さまざまな弊害を体にもたらします。

・タンパク質が分解されると、結合組織からコンドロイチンやカルシウムが分解され流失して骨が弱くなります

・タンパク質自身も失われますし、その際遺伝子が酸化して尿酸値が上昇して通風が悪化します。

・コルチゾールを作る時、多量のビタミンCが消費されます。

・コルチゾールの濃度が高まるこのにより、糖尿病のタイプ2を悪化または発症させたりします。

ストレスの対策

ストレスの対策としては常にストレスを意識して、ストレスをためない工夫をすることがポイントになります。

ストレスに効果効能があるアプリメント

マルチビタミン・ミネラル

カルシウム

ギャバ(γ-アミノ酪酸)

黒酢 もろみ酢

セントジョーンズワート

バレリアン

ビタミンB群

ビタミンC

ビタミンE

マグネシウム

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

カルシウムとマグネシウムは歯や骨を作ったり、神経の興奮を抑える働きがります。

キャバは脳の興奮を押さえ、不安を和らげてくれます。

バレリアンはキャバを含み、睡眠を助けてくれます。

黒酢 もろみ酢は必須アミノ酸を含み神経を安定せます。

セントジョンズワートは抗うつ剤ですが、ストレスの緩和にも効果的です。

ビタミンB郡のB1は脳の働きを活発にして、B6とB12は「頭のビタミン」と呼ばれ脳に欠かせないビタミンです。

ビタミンCはストレスで大量に消費されますので補給が必要です。

ビタミンEは自律神経失調症の治療に使われています。

マルチビタミン・ミネラルを服用することで、三大栄養素の代謝を円滑に進める酵素を十分に働かせることができます。日常の体調を維持するための、予防として服用してくださ。

サプリメント以外での予防改善

ストレスからくる体の変調は人によってさまざまです、ストレスが原因であると正確に判断するのは困難ですが、眠れない、不安、食欲がないなどの症状が続いたら、ストレスが原因であると疑ってみる必要があります。

ストレスの要因も人によってざまざまで、その要因も複雑な現代社会では簡単には取り除く事はできませんが、「自分はストレスの状況下にある」と常に意識してストレスをためないように注意して趣味やスポーツなどでじょうずにストレスに対処していきましょう。

脳卒中(脳血管障害)[生活習慣病]

脳卒中(脳血管障害)の原因

脳卒中(脳血管障害)の原因は食事から脂肪や糖分を過度に摂り過ぎるために中性脂肪やコレステロールが増えすぎたり過度の喫煙などによる動脈硬化や血管内の血栓などにより、血管が詰まったり血管が切れたりすることによって起こります。動脈硬化や血栓は生活習慣病の糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、などが大きく影響しています。

脳卒中(脳血管障害)は動脈が詰まる脳血栓や脳塞栓、動脈が切れる脳出血があります。

前触れとして以下のような軽い発作がある場合があります。

・吐き気をともなう今まで経験してことが無いような強い頭痛

・吐き気をともなうめまい

・脈拍と一致して「ザクザク」または「ザーザー」といったような耳鳴り

・急に眼の前が真っ暗になって意識を失う。

・顔または手足の左右どちらか側がしびれたり、手足の左右どちらか側が力が入らないかったりする。

・言語障害として人の話が理解できなかったり話したい言葉がでないなどの場合や、舌や口の筋肉が麻痺して俗に言う「ろれつが回らない」場合があります。

・物が二重に見えたり、視野の半分が見えくくなったり片側の眼が真っ暗になり見えなくなる。

・つい数時間前の新しい事を忘れたり、同じ事を何度も質問したりなど徐々でなく急に物忘れをしたり急にぼけた場合は脳卒中の可能性があります。

脳卒中(脳血管障害)の対策

脳卒中(脳血管障害)の対策としては、血液中のコレステロールや中性脂肪などを減らしたり活性酸素による脂肪の酸化を防いだりして血管を丈夫にすることがポイントになります。

脳卒中の予防に効果効能があるサプリメント

EPA(IPA) DHA

αーリポ酸

イソフラボン(大豆イソフラボン)

イチョウ葉

ナイアシン(ニコチン酸)

納豆菌

ニンニク

ビタミンB6

ビタミンC

ビタミンE

葉酸

レシチン

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

EPA(IPA) DHAは血管内の飽和脂肪酸やコレステロールを除去して、血栓の原因物質のトロンボキサンの生産を妨げ血栓を予防します。

αーリポ酸とビタミンC、ビタミンEは酸化剤で悪玉コレステロールの酸化を防ぎます。

イソフラボン(大豆イソフラボン)は悪玉コレステロールを減らしうえに酸化も防ぎ、血管を拡張させて血栓を防ぎます。

イチョウ葉は活性酸素から血管を守り血管を拡張して、血行を促進します。

ナイアシン(ニコチン酸)は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。

納豆菌は納豆菌が作る酵素「ナットウキナーゼ」は血栓を溶かす働きがありす。

ニンニクはコレステロールの酸化を妨げる抗酸化剤であり、体内で作られる抗酸化剤のSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やグルタチオンペルオキシダーゼの働きを活性化します。

ビタミンB6は脳卒中の原因になるホモシステイン(アミノ酸のメチオニンの代謝によって作られ活性酸素を発生させる物質)を分解します。

葉酸はビタミンB12と一緒にホモシステインをメチオニンに戻す働きがあります。

ビタミンCとビタミンEは酸化剤で悪玉コレステロールの酸化を防ぎます。

レシチンに含まれるリーノル酸が悪玉コレステロールと中性脂肪を減らし善玉コレステロールを増やし、血小板の凝集も防ぎます。

サプリメント以外での予防改善

食事では肉類や甘いもの、バターなどを減らして、魚類や植物性タンパク質(大豆や豆乳)、植物油(オレイン酸のオリーブ油、ナタネ油)食物繊維含んだ野菜やキノコ類を増やしてください、もし肉類を食べたい場合は脂肪が牛や豚より固まりずらい鶏肉を選んでください。

生活面ではタバコや過度のアルコールを控えて、睡眠不足やストレスに注意して肥満にならないように適度な運動を心掛けてください。

不眠症

不眠の原因

不眠の原因は夜になると脳に放出され体温を下げて眠りにつかせるホルモン「メラトニン」が、放出されないためです。メラトニンは夜にっても光が目に入ると放出されないからです、ですので睡眠障害になる人は夜間に仕事をする人や不規則な生活をして寝る時間が一定でない人などに多いです。

睡眠は厳密にいいますと脳のなかの「大脳」だけが寝ていて、それ以外の脳は24時間働いています。

大脳だけが眠りを必要としている理由2つあります。

1、大脳は大量のカロリーを消費する臓器です。このため連続運転すると脳は疲労してしまいうので、それを 防ぐために睡眠をとります。

2、脳の興奮性伝達物質の補給のためです。人はこの興奮性伝達物質により積極に活動しますが、1日使うと 無くなりますので睡眠の間に興奮性伝達物質が生産、補給されるのです。この興奮性伝達物質が不足する と、うつ病になりやすくなります。

不眠の対策

不眠の対策としてはメラトニンの分泌を増やす事と、眠る前に気分を落ち着かせる事がポイントになります。

不眠に効果効能があるサプリメント

ギャバ(γ-アミノ酪酸)

バレリアン

メラトニン

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

ギャバ(γ-アミノ酪酸)は脳の興奮を抑制する伝達物質で、心を落ち着かせて眠りに誘います。

バレリアンは「ギャバ」を増やす効果があります。

メラトニンは睡眠に必要なホルモンです。ただし40歳以下の人は免疫機構に悪い影響を与える可能性がありますので使用は控えてください。もし使用する場合は0.1~3mgを就寝の30~45分に服用してください

サプリメント以外での予防改善

規則的に睡眠をとるように習慣つけてください、朝起きたら日に当たり夜寝る前は温めのお風呂に入り、リラックスして暗くて静かな部屋で寝るようにしてください。

また夜寝る前にお茶やコーヒーは飲まないように、お茶などに含まれているカフェインは大脳新皮質を興奮させるので目が覚めてしまうからです。

反対に少量のアルコールは大脳新皮質の興奮を抑えて、眠りをさそいます。

その他には、大脳を興奮させるテレビやビデオ、ゲームや刺激の強い書籍の読書などは控えてください。

不眠症に関連する治療法

物忘れ認知症

物忘れ認知症の原因

物忘れは老化現象による記憶力の低下の健忘症と病気に分類される認知症とに分かれます。

・健忘症

健忘症(記憶力の低下)の原因は、加齢による脳の神経伝達機能の低下によるものです。

・認知症

健忘症は単に記憶力の低下ですが、認知症は自分の家族の顔すらも忘れるなどの見当識障害です。

認知症は脳血管性とアルツハイマー型に大別できます。

脳血管性認知症の原因は脳血管の動脈硬化により脳梗塞や脳内出血を起こしたあと、血行が悪くなったことにより脳機能が衰えたものです。

アルツハイマー型認知症の原因は、脳の記憶をつかさどる海馬の付近のアセチルコリン神経の脱落によるものです。

物忘れ認知症の対策

物忘れの対策としては、脳に必要な栄養補給と血行の促進がポイントになります。

物忘れ認知症に効果効能があるサプリメント

EPA(IPA) DHA

イチョウ葉

カンカ

高麗人参(朝鮮人参)

ビタミンB群

ビタミンE

レシチン

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

EPA(IPA) DHAは脳の神経細胞を成長させるホルモンNGF(神経成長因子)の生産に欠かせません、またアルツハイマーの引き金になる脳内の炎症を抑えます。

イチョウ葉は血管を拡張して脳を覚醒させて記憶力を高めます。

カンカは血液を固まりにくくして血行を良くします。

高麗人参(朝鮮人参)は有効成分のジンセニシドがアセチルコリンを放出させます。

ビタミンB群のB1は脳の働きを活発にしてます、B6とB12は「頭のビタミン」と呼ばれ脳に欠かせないビタミンです。

ビタミンEは抗酸化効果がありコレステロールも減らして脳の血行を改善します。

レシチンは脳の伝達神経のアセチルコリンの原料になります。

サプリメント以外での予防改善

食事面ではEPA(IPA) DHAやビタミンE、レシチンを含んだ食品を使ってバランスの良い食事を摂ってください。

EPA(IPA) DHAやビタミンEはイワシやサバ、サンマ、マグロなどに含まれています、またレシチンを含んだ食品は納豆や豆腐などの大豆食品です。

普段の生活では人づき合いや趣味などで、人生を積極的に楽しむように努めましょう

物忘れ認知症に関連する治療法

認知症の種類

アルツハイマー型認知症

脳血管性認知症

レビー小体型認知症

前頭側頭型認知症

若年性認知症

うつ病の認知行動療法

うつ病の認知行動療法

「認知療法」は、うつ病の治療のために開発された心理療法です。認知療法を説明する前に実際にヨーロ ッパで行われた認知治療についてお話します。

認知療法を受けた患者は30代の男性でした、この男性に対し認知療法を行うカウンセラーが、まずうつ病 の原因を突き止めるために、男性の日常の生活や人間関係などについて話しをして行きます。話をして行く うちに、この男性が離婚をしていて、別れた妻と一緒に暮らしている4才の娘と月に数回会っていましたが、 その男性は将来、娘と会うことが出来なくなるのではと、自分で勝手に決めてしまい、そして極度に心配し てしまい、この事が原因でうつ病のなった事にカウンセラーが気が付きました。

これに対してカウンセラーは現在、子供と会うことが出来ていて、別れた奥さんも将来、子供と会う事を 許さないと言っていない事などを指摘して、男性の考え方を消極的なものから、積極的で建設的なものに導 いて行きました。認知療法のカウンセリングを終えた男性は、晴れ晴れとした表情で、「心が軽くなった。 」と感想を述べていました。これが具体的な「認知療法」です。

認知療法とは

認知療法の「認知」とは人が物事に対しての、見方を指します。同じ事でも人によって見方や感じ方が違 ってきます。物事を冷静に客観的に分析できる人は少なく、ほとんどの人は自らに不都合な認知をしてしま い、その結果として不安やストレスを過度に湧き上げて、うつ病などの精神病を引き起こしてしまうのです 。

アメリカの精神学者のアーロン・ベックやアルバート・エリスは、人間の感情が精神病の原因では無く、 物事の対する人間の否定的な誤った見方(認知)が、精神病の原因であると学会に発表しました。この否定 的な認知の仕方を修正することで、患者を治療していくのが「認知療法」です。先に述べたヨーロッパの男 性の例ですと、現在娘に会えているし、将来娘に会わせ無いと言われていないのに、男性の間違った認知に より、娘に会えなくなると極度に心配してうつ病を引き起こしたのです。

誤った認知の例として以下のことが挙げられます。

・物事を見るときに、「白か黒」「100%か0」という両極端の見方をしてしまう。

・具体的な根拠もないまま、勝手に結論を急ぎ、物事を否定的に考えてしまう。

・自分の短所や失敗を過大に評価して、逆に自分の長所や成功を過小評価する。

・1つの良くない出来事を根拠に、「いつも・・」「決まって・・」と、良くない事が、いつも必ず自分 に起きると考えてしまう。

・自分の感情を根拠に、現実そのものに反映してしまうこと。

・問題が起きた時に、さまざまな要因があるのにかかわらず、自分が原因だと責任を感じて、自分を責め てしまう。

・たった1つの悪いことだけを捉えて、他の良い事を無視してしまうこと。

・肯定的な出来事を、無視や軽視をして、悪い出来事にすり替えてしまう。

この様に習慣付けられた、ゆがんだ悪い認知を柔軟的で客観的な認知へと修正して行くのが、認知療法で す。先ほどにヨーロッパの男性の例ですと、カウンセラーが男性の娘に会えなくなるといった、誤った考え 方を指摘して、男性の考え方を肯定的で客観的なものにと、変えていきました。

認知療法の方法

まず初めにカウンセラーは患者との面接や行動記録から、患者がどの様な誤った認知をしているかを調べ ます。また患者の治療への意欲が大切なため、改善目標を設定して患者の治療への動機付けをおこないます 。

そこからカウンセラーは患者との会話の応答から、誤った認知を少しずつ修正して行くのです。特に重要 なのは患者の日常での生活への応用で、修正した認知を現実の生活に応用していく訓練をしていき、修正し た認知を確実に身に着けていきます。

特発性正常圧水頭症による痴呆の手術療法

特発性正常圧水頭症の原因

脳の中では、髄液と呼ばれる液体が作られ、脳内と脊髄を循環し、脳のクッションの役割をしている。水 頭症は、髄液の流れが滞って脳内の空間(脳室)が広がり、脳の他の部分が圧迫されるために、様々な症状 が現れる病気です。

特発性正常圧水頭症は、髄液の圧力は正常ですが、歩行障害、痴呆、尿失禁の3症状が出るのが特徴で、 60歳以降に発症しやすいです。

国内の痴呆患者は170万人前後に上り、このうち5%程度は、正常圧水頭症が原因と考えられています 。痴呆の中でも、例外的に手術で治すことが可能な病気です。

特発性正常圧水頭症の手術

脳内を圧迫する髄液が、脳室にたまらないよう、通り道を作る手術を行います。腰に注射器を刺して髄液 を抜き、症状が良くなるようなら、手術の効果が期待できます。

国内で主に行われている手術は、脳室にチューブを刺し入れ、背中から皮膚の下を通して腹部の空間(腹 腔)までチューブを延ばし、たまった髄液を抜く「脳室腹腔短絡術」(VPシャント)です。チューブには、 髄液の排出を調整するバルブがついていて、手術後にも調整できます。

チューブの入り口を作る必要があり、頭や皮膚を数か所切り開きますが、全身麻酔で1時間程度で終わり ます。手術の後、8割以上の人は歩行障害が改善し、痴呆症状も半数以上は1年以内に治まるそうです。3 割は、介助がほぼ不要になるほど回復します。

手術には、頭に傷をつけない方法もある。髄液の通り道となる背骨の腰付近にチューブを入れ、腹腔に流 す「腰椎くも膜下腔腹腔短絡術」(LPシャント)です。総合南東北病院(福島県郡山市)、横浜南共済病院 (横浜市)などが多く手がけている。手術法が違っても、治療成績に差は見られないといいます。いずれの 手術にも保険が適用されます。

この病気のことがほとんど知られておらず、治療すれば良くなるはずの人が、治療を受けていない方が多 くいます。限られた専門医にしか実態が認識されておらず、ほかの病気と誤診されている人もいるのが実情 です。

関係医療機関 総合南東北病院 横浜南共済病院

特発性正常圧水頭症のサイト 特発性正常圧水頭症iNPH

パーキンソン病の脳深部刺激療法

パーキンソン病

手足の震えや筋肉のこわばりといった運動障害が起きるのが、パーキンソン病の特長です。詳しい原因は 不明ですが、ドーパミンという脳内の神経伝達物質が不足するために起きます。50-60歳代に多く、患 者は国内で約10万人、国の特定疾患(難病)に指定されています。

ドーパミンを薬で補うのが治療の基本ですが、病気の進行に伴って効果が徐々に薄れてきます。服用始め は薬がよく効いていますが、次第に症状が進行し、薬の量を上限まで増やしても足が動かなくなり、顔の筋 肉のこわばりで言葉すら出ないような状態になったりします。

脳深部刺激療法

日大板橋病院(東京・板橋区)脳神経外科では、脳に電極を埋め込んで、電気刺激を与える「脳深部刺激療 法」の手術を行っています。この手術は1970年代末から痛みの治療法として研究され、意思と関係なく 、震えるような不随意運動を抑える効果もあるとして、パーキンソン病にも90年代から導入され始めまし た。

電気刺激装置は、バッテリーを含むパルス(電気抽動)発生装置と電極からなり、規則的に電流を送ります 。狭心症の治療に使う心臓ペースメーカーを、脳に応用した形です。

手術はまず、MRI(磁気共鳴画像)で撮影した脳の画像を基に、コンピューターを使い、電極を埋め込む位 置を決めます。

頭部に二か所の穴を開け、脳の視床下核という部分に、極細の電極の針を刺します。1ミリの位置のずれ で効果に大きな違いが出る、精密さを要求される手術です。

さらに、右鎖骨下を切り開いて胸にパルス発生装置を埋め込み、脳に刺した電極と線をつなぐ手術を行い ます。微弱な電流の刺激が、神経伝達の流れを調節し、不随意運動を抑制すると考えられています。

睡眠時は電流を切っても良いですが、基本的に24時間、流したままです。月に一度通院し、効き具合な どを見てもらい電流を調整します。体外からのリモコンで、操作が可能になっています。

完全に元通りになるわけではありませんが、服のボタンを留めたり、食べ物を口に運んだりといった日常 の動作ができるまでに回復します。ドーパミンを補う薬の量は、手術前より少なくなります。

ただ、脳の深部にかかわる手術だけに危険もあります。最も重大なのが脳出血で、約2%に起こります。 またパーキンソン病そのものが治るわけではないので、効果がいつまで続くかは、病気の進行にもよります 。すでに最重症の人では、この手術をしてもあまり効果が期待できません。中程度の病状の人が、最も適し ていると言われます。

手術は2000年から保険適用になり、特定疾患の認定患者は、さらに公費負担が受けられます。

パーキンソン病の薬物治療

パーキンソン病の治療の基本は、脳内の神経伝達物質ドーパミンが不足しているのを、薬で補うことです 。

代表的な薬は、脳内でドーパミンに変化する物質を補充する「Lドーパ」という薬です。

効果は強い反面、吐き気や幻覚といった副作用を引き起こすこともあります。最大の難点は、何年も使っ ているうちに、しだいに効き目が落ちることで、量を増やすにも限界があります。

このためドーパミンを受け取る側の神経細胞の働きを強めようという「ドーパミン受容体刺激薬」もよく 使われ、新薬の開発も進められています。

関係医療機関 日大板橋病院脳神経外科

手術による「てんかん」治療

てんかん

てんかんは、脳の電気信号の伝達異常によって、突然意識を失って倒れたり、けいれんを起こしたりしま す。自動車の運転免許を取れないほか、発作で日常生活に大きな支障を与えます。原因は脳腫瘍や、胎児期 に大脳が形作られる際の異常、頭部外傷や脳卒中などさまざまあります。患者は1000人あたり5-10 人と言われ、決して珍しくない病気です。

抗てんかん薬は患者の三分の二に有効とされています。しかし、薬で改善しない場合を「難治性てんかん 」と呼び、人口の0.1%程度の患者がいます。病変が脳全体に及ぶものと、局所にとどまるものがあり、 難治性でも局所にとどまれば手術が可能です。手術は脳の病変を切除したり、異常な電気信号が出る部位を 切断したりします。手術で全体の95%は発作が以前より少なくなり、その八8-9割は発作が完全に消え ると言います。手術できる患者は国内で年3000-4000人に上るとされています。しかし、年間手術 数は500件程度にとどまっています。

「専門医とされる神経内科医でも、手術は危険で効果が小さいと思いこんでいる場合が少なくない」と、 国立精神・神経センター武蔵病院手術部長の大槻泰介さんは指摘します。

手術によるてんかん治療

手術で改善しやすいのは、脳中心部の海馬と呼ばれる部位に、委縮や硬化が見られる「内側型側頭葉てん かん」や、腫瘍や大脳の形成異常が原因のものなどです。画像で異常が見つかる場合が多く、手術自体は数 10年前から行われていたが、治療成績はここ10年ほどで飛躍的に向上しています。画像診断の進歩で、 てんかんの原因となる病変が正確に特定されやすくなったためです。

脳の構造の変化などを見るため、以前から使われてきた磁気共鳴画像(MRI)に加え、脳の血流を見る単 光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、ブドウ糖代謝を見る陽電子放射断層撮影(PET)、脳の電気信号 の変化をとらえる脳磁図(MEG)などが登場し、診断、治療の大きな力になっています。

大槻さんは「手術で確実に治るてんかんがあることを知ってほしい。従来難しいとされた場所も手術がで きるようになり、後遺症も減っている」と言います。

2002年には日本神経学会で、てんかんの治療指針(ガイドライン)がまとめられ、手術の有効性も盛 り込まれています。大人では、薬を飲んで二、三年経過を見ても改善しない場合は、手術の検討対象となり ます。子どもの場合、てんかんが成長に及ぼす影響が大きいことを考慮し、早めに手術することが多いです 。発作を起こすことで、日常生活にどの程度支障が出るかも、手術の判断基準となります。

検査や手術などの入院期間は約二か月。治療には保険が適用されます。ただし、脳手術だけに、全体の1 %弱には手足のまひや言葉の障害など、重大な後遺症が出てしまいます。手術を受けても改善しない人も5 %程度います。日本てんかん学会認定医がいて、手術ができる施設は20程度あります。手術経験の豊富な 施設で十分な説明を受け、納得の上で手術を受けること決めてください。

てんかんの薬物治療

脳全体に発作が広がり、意識を失い体を硬直させてけいれんを起こす「全般発作」にはバルプロ酸(一般 名)、脳の嘉の機能が間題を起こし、けいれん、しびれ、幻聴などを起こす「部分発作」にはカルバマゼピ ン(同)が第一選択薬として使われています。

薬で効果がない場合、手術が検討されます。日本神経学会の「てんかん治療ガイドライン(指針)」がホ ームページで公開されています。

関係医療機関 国立精神・神経センター武蔵病院

関連サイト 日本神経学会 日本てんかん学会

メニエール病の治療「早期の生活改善」と「薬物療法」

メニエール病の症状と原因

メニエール病は、内耳を満たしているリンパ液が過剰になり、「水ぶくれ」になる病気です。内耳は、平 衡感覚をつかさどったり位置を感知したりする三半規管や耳石器などの器官が集まっています。これが水ぶ くれでうまく働かなくなり、耳鳴り、難聴、ぐるぐる回る回転性のめまい発作が繰り返し起きます。悪化す ると治療は難しく、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されています。患者は十万人当たり十数人ほどで、 女性の方が多いです。

水ぶくれの原因は不明ですが、ストレスによる自律神経や内分泌系の失調が一因とも見られています。東 海大教授の高橋正紘さん(耳鼻咽喉科)は患者200人を詳しく調べ、発症に個人の性格が関連していること を突き止めました。

親や上司の期待に沿うよう努力し、嫌なことは我慢するなど、人からの評価に敏感で徹底的に仕事をする 人が、そうでない人より二倍以上、発症しやすいことが分かりました。

メニエール病の「早期の生活改善」

メニエール病は生活習慣病ですので、治療として徹底した生活指導が行われます。

1.週何回かは、汗をかく程度の運動を行う。

2.毎週一日は必ず休日を取り、自分の楽しみに時間を使ってストレスを発散する。

3.長時間労働を避ける(夜9時以降は仕事をしない)。

以上のように、体に負担をかける生活を改めます。

高橋さんは「メニエール病はライフスタイルが影響する生活習慣病。進行すると治療は難しいが、発症か ら一年以内の早い段階で生活を改善すれば完治も見込める」と強調します。同病院は月曜日午後、めまい外 来を開いています。

メニエール病の「薬物療法」

一方、薬物療法を行う医療機関もあります。埼玉医大名誉教授で新宿恒心クリニック、めまい.平衡障害 ・耳鳴りセンター長の坂田英治さんは「中耳腔ステロイド剤注人法」を実施しています。

めまいは、内耳の器官が異常に反応し、それが脳に伝わって起きます。ステロイド剤にはこの興奮を鎮め る作用があり、中耳に薬剤を注入し、その奥の内耳にしみこませる方法です。

鼓膜に注射針を刺し、10秒ほどかけて中耳に流し込みます。これを1-2週間ごとに2-3回行います 。坂田さんによると、病状が早期なら、約八割の患者に症状の改善など効果がありました。ステロイド剤は 局所への注入なので、副作用は心配ないそうです。

こうした内耳への薬剤の局所投与は、厚生労働省研究班も効果を詳しく調べる研究を進めています。

坂田さんは「めまいや耳鳴り、難聴は、脳梗塞など命にかかわる病気が原因の場合もある。症状があれば 、早めに専門医を受診するべきだ」と話しています。

関連医療機関 東海大学医学部付属 病院 新宿恒心クリニック

不眠のむずむず脚症候群

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群は1990年ごろから、米国で「レストレス・レッグス症候群(RLS)」という名前で 知られるようになりました。「レストレス」は「落ち着きのない」という意味です。

欧米では人口の5~10%の患者がいるとの研究もあります。日本での実態は不明ですが、医師の間でも この病気はまだ十分に認識されておらず、潜在的な患者は多いのではないかと言われてます。

自覚症状による診断基準のほか、睡眠中の筋肉の動きを測る筋電図や脳波検査などで診断します。検査に は通常、1泊2日か2泊3日の入院が必要です。

むずむず感が起きるはっきりした理由は不明ですが、別の病気などに伴って起きる場合(2次性)と、特 別な原因がない場合(特発性)があります。

2次性では、鉄欠乏性の貧血、腎不全で人工透析をしている人、手術で胃を切除した人や、妊娠中の女性 にも見られ、貧血なら、鉄分補充などで症状改善を図ります。

さらに見つかりにくいのが特発性の場合で、受診しても「気のせい」ですまされることもあり、睡眠障害 の専門外来で、ようやく診断される場合が多いです。

むずむず脚症候群の治療法

主に特発性の場合の治療に使われるのが、抗てんかん薬のクロナゼパムと、パーキンソン病の治療に使う ドーパミン受容体刺激薬です。なぜ効くのか確かな理由は不明ですが、症状を抑える効果があるとされてい ます。

ドーパミン受容体刺激薬は、脳神経に指令を伝えるドーパミンという物質の働きを補う薬で、欧米の治療 指針では第一に使う薬とされています。クロナゼパムは、眠気を誘う副作用も症状緩和に役立っています。

薬は、てんかんやパーキンソン病の治療に使う量の数分の一で済み、副作用の恐れは少ないですが、増量 が必要な場合もあります。どのくらいの期間、飲めばよいか、よくわかっていません。

いずれも、むずむず脚症候群の薬としては承認されていないため、現在は専門医が処方した場合などに特 例的に保険が適用されています。ドーパミン受容体刺激薬は、正式な承認に向けた臨床試験が行われる予定 です。

正確に診断されずに「不眠症」と言われ、睡眠導入薬や抗うつ薬を使うと、効果がないばかりか、かえっ て悪化することさえあります。日本睡眠学会は睡眠障害の専門治療施設を認定していますので、専門医を受 診してください。

関連医療機関 独協医大病院 

関連サイト  日本睡眠学会

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中、のどの上気道がふさがり、呼吸が10秒以上止まる状態(無呼吸)が、 1時間に5回以上起きる症状をいいます。患者は全国で推定200万人を超えています。

深い睡眠がとれないため、日中の眠気や疲労につながり、事故も起こしやすいです。肥満によって脂肪で 気道が狭くなることが主な原因とされていますが、近年、肥満以外にも高血圧、糖尿病などの生活習慣病と 密接に関係することが分かってきています。

睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病と併発する場合が増えており、生活習慣病の引き金になることもあり ます。循環器科や産婦人科などでも、高血圧や流産の原因として、この症候群が見過ごせなくなってきてい ます。

このため日本睡眠学会は、開業医などへの睡眠障害の診療知識の普及に努めるとともに、かかりつけ医か らの紹介を受ける睡眠医療専門機関の認定を2003年に始めています。

自宅で簡易検査を受けることもできます。睡眠時に呼吸が止まると、血液中の酸素量が減る。日本メディ カル総研が行う宅配方式の検診は、この血中酸素量を測る腕時計型の装置「パルスオキシメーター」を一晩 装着し、同社に返送するだけで結果が出ます。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

治療の主な方法の一つが、気道がふさがらないよう、加圧した空気を鼻へ送り込む装置「CPAP(シーパッ プ)」を身につけて眠る治療です。自宅で実施でき、専門医療機関では約3分の2の患者が、この治療を受 けています。ただ、CPAP療法が保険適用されるのは、無呼吸が1時間に20回を超す中程度以上の患者に限 られています。

それより軽い場合は、気道を広くするため、睡眠時に、あごを前にずらすマウスピースに似た装置を口に はめます。また、鼻づまり(鼻閉)、へんとう肥大によって無呼吸が起きている場合、外科的手術を優先す る例もあります。

こうした治療で、深い睡眠がとれるようになり、症状は改善します。これに加え、運動と食事を組み合わ せ、根本原因の肥満解消を目指します。

関係医療機関 愛知医大病院

関連サイト  日本睡眠学会

耳鳴りの苦痛軽減治療TRT

耳鳴りの原因

「キーン」「ザー」といった雑音が聞こえる耳鳴り、半年以上続く慢性の耳鳴りは、重症だと不眠やうつ症状を伴って日常生活に支障をきたします。

耳鳴りは、カタツムリの形をした内耳の器官「蝸牛」(かぎゅう)に加齢などで異常が起き、発生することが多いとされています。完全に消す方法はなく、放置されることが多かったですが、苦痛を軽くする治療「TRT」が試みられています。

苦痛軽減治療TRT

TRTはtinnitus retraining therapyの頭文字で「耳鳴り順応療法」と呼びます。1994年に米国で考案され、ヨーロッパなどで普及して、日本では2002年に導入されました。

「耳鳴りの音自体は変わらないのに、急につらさが増すことがある。発生源は耳ですが、苦痛を悪化させるのは脳内の現象と考えられます」と慶応大病院で難聴・耳鳴外来を担当する済生会宇都宮病院医長の新田清一さんは話します。

私たちは普段エアコンなどの音や雑踏の音は意識しませんが、人ごみで自分の名前を呼ばれると、さほど大きな声でなくても気づきます。「重要」「危険」と思われる音を脳が判断・選択しているのです。

耳鳴りは、疲れなどをきっかけに急に起きることが多いため、「耳が聞こえなくなるのでは」といった心配が、不眠や冷や汗など自律神経系の反応を引き起こします。耳鳴りに気持ちが集中するほど、脳が「危険信号」と過敏に反応する悪循環を生み、苦痛が増すと考えられます。

TRTの治療法は、2つの方法で行われます。

1.耳鳴りのメカニズムを知るカウンセリング

2.別の音を使って耳鳴りに慣れる音響療法

慶応大病院では、耳鳴りの強さや聴力などの検査後、耳鳴りがどうして起きるか、なぜ苦痛に感じるか、といった知識を丁寧に説明します。患者の希望や状況に応じて臨床心理士の面談も行います。「受診者の約8ー9割は軽症。説明を受けて納得し、苦痛が緩和される人が多い」と新田さんは話します。

重症患者には「音響療法」を行います。音を聞き続けることで、耳鳴りも「危険な音ではない」と脳に認識させる目的です。ラジオの音や音楽でも効果はありますが、「TCI」という専用の機器があります。

補聴器に似た形で、ザーといった4種類の音が出ます。自分にあった音を、耳鳴りを完全に消さない強さに調整、一日6-8時間装着します。1-2年は続ける息の長い治療です。保険はきかず、一台63000円(税込み)しますが、同大では「苦痛が軽減した」「やや軽減」と答えた患者さんが、計約8割にのぼっています。

この治療を行う病院はまだ少なく、慶応大では患者の方が2-3か月待ちの状態といいます。耳鼻咽喉科教授の小川郁さんは「耳鳴りをうまく忘れるには、静かな場所やストレスを避けること。TRT療法は、耳鳴りを小さくしたり消したりする治療ではないことを、理解して受けてほしい」と話しています。

関係医療機関 慶応大病院 済生会宇都宮病院

関連サイト シーメンス社(TRT療法を行う医療機関を紹介)

脳卒中の新しいリハビリ法「CI療法」

脳卒中のリハビリ

脳梗塞など脳卒中の後遺症で、左右どちらか一方の腕や足に運動障害(片まひ)が起こることが少なくありません。足のリハビリは歩けるようになることを目指しますが、腕や手は、短時間のリハビリを毎日続けてもあまり効果がない場合、まひしていない腕で食事や字を書くことができるよう、指導を切り替えることが多いです。

新しいリハビリ法「CI療法」

これに対し、まひした腕を集中的に訓練する、新しいリハビリ法「CI療法」があります。1989年ごろからアメリカで始められ、英語の頭文字をとって「CI療法」と呼ばれています。

(CI=constraint induced movement therapy 訳「脳卒中片まひの集中訓練」)

この方法は、健常な腕を使わないようにした上で、まひした腕を使う訓練を毎日長時間、2-3週間かけて行うのがポイントになります。

CI療法は日米以外にもイギリス、ドイツ、韓国など7か国以上で実施され、脳の外傷、脳性まひといった脳卒中以外の患者に応用された例もあるといいます。

兵庫医大病院と、分院の篠山病院では、2300年以降、47-81歳の男女20人にCI療法を実施しました。何も握れなかった人が、包丁を使えるようになるなど、14人で改善が見られました。一般に、後遺症が出てから時間が経過してしまうと回復しにくいとされますが、発症後16年以上たっても、ある程度動くようになった例もあります。

なぜ、腕の動きが回復するのか、同医大教授の道免和久(どうめんかずひさ)さんは「脳細胞に柔軟性(可塑性)があるため。集中的な訓練で、運動をつかさどる大脳皮質の障害のない部分が、障害のある領域の機能を果たすようになる」と見ています。

ただし、訓練は過酷です。同医大では、健常な腕を使わないよう三角きんで縛り、まひした手の訓練を毎日5時間、その訓練を10-14日間行います。作業療法士らが付きっきりで「タオルを動かす」簡単な動作から、「小銭をつまむ」「蝶結びをする」など、複雑な動作へと進めていきます。訓練項目は62通りにも及びます。

患者は単調な動作を繰り返す訓練に忍耐を強いられます。それでも、あきらめていた手の動きを取り戻す、喜びは大きいです。従来のやり方では「動く方しか訓練しない」と、物足りなかった患者の不満も解消されます。

CI療法の適用基準

もっとも、重いまひの場合、機能回復は難しいです。2004年からCI療法を導入した自衛隊中央病院リハビリテーション科医長の越智文雄さんは「この治療の対象者はかなり限定され、脳卒中の片まひ患者の二割ほど」と話します。

道免さんも「まひが消えて元通りに回復する〃奇跡の治療"ではない」と言い、指や手の関節を自力である程度動かせるなどの適用基準を設けています。

適用基準は兵庫医大、同篠山病院の基準では、まひしている側の手首が手の甲の側に20度以上動かせて、さらに親指を含めた3本の指が10度以上伸ばせることとしている。訓練初期はまったく手や腕が動かないのに長時間、単調な動作を繰り返さなければならないので、患者自身の強い意欲、集中訓練のストレスに耐えられる精神力、血圧や他の病気が安定していることなども求めています。

CI療法の現状

この治療は、日本神経学会などがまとめた「脳卒中治療ガイドライン」でリハビリの一つとして推奨はしていますが、普及していません。医療機関が請求できるリハビリの診療報酬は短時間に限られ、作業療法士が長時間患者に付きそうには、見合わないことも一因とみられています。

関係医療機関

兵庫医大病院

篠山病院

自衛隊中央病院

脳梗塞の新薬 tPA(組織性プラスミノーゲン活性化因子)

脳梗塞

脳梗塞は、動脈硬化で脳の動脈が狭くなつたり、心臓などからはがれ落ちて流れてきた血栓によって、脳 の血管が詰まる病気です。脳細胞に栄養や酸素が送られないと、細胞が死に、半身まひなどの後遺症や最悪 は死亡にもつながります。

脳梗塞のほか、脳内の血管が破れる「脳内出血」、脳血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破れる「くも膜下 出血」の3疾患を合わせて脳卒中と呼びます、患者は計約140万人にものぼります。死因別では、がん、 心臓病に次いで3番目に多いです。その脳卒中の死亡者のうち、脳梗塞が6割以上を占めています。

脳梗塞には従来、血栓を溶かす効果的な方法がなく、脳梗塞が広がるのを防ぐ薬などが投与されてきまし た。そこに登場したのがtPA(組織性プラスミノーゲン活性化因子)です。血栓に吸着して効率よく血栓を溶か し、脳の血流を速やかに再開させます。

脳梗塞の新薬 tPA(組織性プラスミノーゲン活性化因子)

まず使用量の1割を静脈注射で急速に投与した後、残る9割を点滴で1時間かけてゆっくりと投与します 。アメリカの脳梗塞治療の指針は、発症後3時間以内(超急性期)に、この方法を最優先すべき治療法として 勧めているほか、世界約40か国で認められています。

日本でも1990年代初めに臨床試験(治験)が始まりましたが、薬の特許を巡り、日米企業問で訴訟紛争 が起きて中止となりました。そのあおりで、日本は世界の流れから取り残されていました。

この薬は心筋梗塞治療としては既に承認されていましたが、今回ようやく脳梗塞についても追加承認され ました。欧米に遅れること約10年ということになります。

国内の治験では、脳梗塞の発症後3時間以内にtPA治療を行うと、3か月後には、ほとんど後遺症を患う ことなく社会復帰できた割合が37%でした。アメリカでの治験もほぼ同じで、社会復帰の割合は処置しな い場合よりも5割も高かったです。

tPA(組織性プラスミノーゲン活性化因子)の副作用

しかし、全員に効果があるわけではないうえ、副作用もあります。tPAの早期承認を訴えてきた日本脳卒 中学会理事で札幌医大名誉教授の端和夫(はしかずお)さんも「血栓を溶かすtPAは、脳出血を起こしやすく なります。使用の際、医師は細心の注意が必要です」と指摘します。

発症から長時間たった後にこの薬を使うと、脳出血の恐れが高まり、効果も乏しくなります。そこで、治 療の対象は

  • 発症後3時間以内
  • CT(コンピューター断層撮影)検査で、脳出血の危険性が低いことを確認

などの場合に限られています。

患者・家族にとって重要な点は「脳梗塞を起こしたら、3時間以内に病院で治療を受ける」ことです。し かし、国立循環器病センターの調べでは、発症後3時間以内に受診した患者は19%しかいません。「脳梗 塞と気づくのが遅れた」「救急車を呼ばずに自力で来院した」などが原因です。

アメリカは、早期の脳梗塞治療を呼びかけるキャンペーンを行い、成果を上げています。救命率向上のた め、日本でも同様の取り組みが必要です。

脳仮塞の症状とtPA治療

脳梗塞の症状としては

  1. 片方の手足など半身の動きが急に悪くなる
  2. 突然ろれつが回らなくなる、言葉が出にくくなる
  3. 片方の目が見えにくくなる、視野が狭くなる
  4. 突然ふらつき、歩けなくなる
  5. 意識がなくなる

本人の自覚がないこともあるため、これらの症状に家族が気づいたら、すぐ救急車を呼んでください。

ここで紹介したtPA治療は、発症から長時間経過していると脳出血の危険性が高まることから、日本脳卒 中学会は施設として

  • CTまたはMRI(磁気共鳴画像)による検査が24時間可能
  • この治療を熟知した医師が勤務

などの条件を挙げています。

関係医療機関

国立循環器病センター

札幌医大病院

脳腫瘍(しゅよう)の「覚醒手術」

脳腫瘍の手術

脳腫瘍は、異常な細胞が脳内で増殖する病気です。治療には腫瘍をできる限り多く切除することが必要で すが、腫瘍の位置によっては摘出の際に脳組織を傷つけ、体のマヒや失語症などが残る恐れもあります。

「腫瘍を多く切除しつつ、後遺症を防ぐ」この二律背反の難題を解決したのが、「覚醒手術」です。

覚醒手術

手術台に横たわる患者に、医師がパソコン画面の単語や絵を見せ、「この三つの単語をつなげて文章を作 って下さい」と話しかけます。

「かべに ペンキを ぬる」と答える患者、医師は「大丈夫そうですね。言葉のもつれなど違和感はあり ませんか」と問いかけを続けます。

患者は、頭の骨の一部を外され、脳がむき出しの状態ですが、意識は鮮明です。執刀医は患者の受け答え の様子を見ながら、脳腫瘍を電気メスなどで慎重に摘出していきます。

その間にも、患者とやり取りする「反応テスト」を担当する医師が頻繁に声をかけ、氏名や住所、趣味な ども尋ねます。手を握ったり開いたりさせ、まばたきや舌の動きも見ます。

手術中は、医師が病変付近を電気や器具で刺激します。会話が途切れる、物の名前を言えない、顔が引き つるなどの異常な反応が出たら、その付近の腫瘍はそれ以上取りません。東京女子医大脳神経外科教授の堀 智勝さんは「従来の手術に比べ、安全で効果の高い治療ができます」と話します。

脳を包む硬膜は刺激で痛みを感じますが、脳組織自体は痛みを感じません。そこで、まず全身麻酔で頭の 骨を切開する「開頭」を行ってから、麻酔を中断して意識を回復させます。

この間に反応テストをしながら腫瘍を摘出し、再び全身麻酔をかけて頭部を閉じます。約10年前、効き も目覚めも早い麻酔薬が登場して、実施されるようになりました。

従来の手術では、腫瘍全体の7割程度を取れれば成功とされてきましたが、同大でこれまでに手術した約 60人の患者では、平均で約95%の量の腫瘍を摘出できました。良性の脳腫瘍の場合、4年後の生存率は 100%と、通常の手術に比べ2、3割高いです。3割程度の患者に一時的な言語障害やマヒが見られます が、数か月以内にほぼ消えると言います。

この手術は脳腫瘍のほか、脳血管にこぶができる海綿状血管腫、突然意識を失うてんかんなどにも実施さ れます。

ただ、脳の部位と働きには個人差が大きいです。そこで、言葉を発したり運動したりする際、脳のどの部 分が働くかを調べるため、覚醒手術に先立ち、測定用電極を埋め込む手術を行う場合が多いです。

さらに、覚醒手術中に脳のMRI画像も撮影するため、手術時間が9時間程度と、従来の2倍近いです。 患者には体力と忍耐も必要で、東京女子医大は15~65歳の患者に行っています。

保険がききますが、反応テストなどにスタッフも数多く必要なため、一部の大学病院でしか実施されてい ません。

関係医療機関 東京女子医大脳神経外科

関連ページ 手術による「てんかん」治療

がん(脳腫瘍)の放射線治療「サイバーナイフ」

放射線治療「サイバーナイフ」

神経や血管、組織が密集している頭や顔、首(頭頸部:とうけいぶ)の手術は、できるだけ避けたいものです。患者には、手術に耐えるだけの体力がない高齢者らも多いです。その点、メスを使わない放射線治療なら患者の体の負担が少ないです。ただし、通常の放射線は照射範囲が広く、微細な部位には使えないです。そこで、精密に照射できる最新鋭器「サイバーナイフ」が、放射線治療の新たな可能性を広げています。

サイバーナイフの仕組みはこうです。あらかじめ作成した画像に2方向から撮影したエックス線画像を重ね合わせて病巣を正確にとらえます。これを基に、6か所の関節を持つクレーンのようなロボットアームが、患者の体の微妙な動きに即応して位置を自在に変えながら、アーム先端の小型リニアック(直線加速器)から放射線を照射します。

リニアックは患者の頭頸部の周囲100か所のポイントから各12方向に照射します。最大1200本の放射線を病巣の形状に合わせて、方向と強さを変えて照射し、体が大きく動くと中断して誤射を防ぎます。

サイバーナイフは1992年、アメリカで開発されました。ロボットアームの動きは、巡航ミサイルが動く標的を追跡して撃ち落とす軍事技術が応用されており、照射の誤差は1ミリ以内と精度が高いです。メスのような鋭い切れ味の「電脳ナイフ」が名前の由来です。

従来、脳神経外科の放射線治療には、ガンマ線を照射する「ガンマナイフ」が多用されてきました。サイバーナイフと比較しても効果に違いはありませんが、ガンマナイフは重い金属フレームを患者の頭がい骨にねじで固定するため、痛みが多少あります。治療できるのは基本的に頭がい骨内にある3センチ以下の病巣に限られています。

これに対しサイバーナイフは、メッシュ状の固定用マスクをはめるだけです。何日にも分けて広い範囲に照射し、大きな病巣も治療できます。「針の穴に糸を通す」精度で、ガンマナイフでは治療できない頭がい底や頸部、脊髄(せきずい)の周辺、眼球と眼球の間など、頭がい骨の外にある病巣でも治療できます。

サイバーナイフの治療対象

頭頸部腫瘍のほか、くも膜下出血を引き起こす動静脈奇形や三叉(さんさ)神経痛なども治療できます。

治療は麻酔をせずに約1時間で、照射後に吐き気、発熱などが起こることがありますが、数日で治まります。叉神経痛などを除く、多くの疾患で健康保険が使え、治療費の自已負担は通常、3割となります。

関東脳神経外科病院サイバーナイフセンター長の井上洋(いのうえひろし)さん(群馬県藤岡市・神経機構研究所長)は「放射線を病巣に集中させるピンポイントの照射ができるので、頭頸部に最適ですが、今後、肺がんや乳がんなどにも広がるでしょう」と話しています。

ただサイバーナイフ装置は1台数億円と高価で、目下、全国で14施設にあるのみです。

ガンマナイフ

ガンマナイフは1968年、スウェーデンで開発された放射線治療装置です。

国内には1990年に初めて導入された。コバルト60を放射線源にして、頭部を覆うヘルメット型コリメーターの201個の穴からガンマ線を放射します。虫眼鏡で光を一点に集中する要領で、病巣を焼き切ります。

主な設置施設は日本ガンマナイフサポート協会のホームページで分かります。

関係医療機関

関東脳神経外科病院(埼玉県)

脳神経外科聖麗メモリアル病院(茨城県)

おか脳神経外科病院(東京都)

新緑会脳神経外科病院(神奈川県)

津島市民病院(愛知県)

蘇生会総合病院(京都府)

大阪大学病院(大阪府)

岡山旭東病院(岡山県)

厚南セントヒル病院(山口県)

済生会今治病院(愛媛県)

共愛会 戸畑診療所(福岡県)

九州大学病院(福岡県)

大分岡病院(大分県)

熊本放射線外科病院(熊本県)

藤元早鈴病院(宮崎県)

脳卒中の後遺症治療「経頭蓋磁気刺激治療」(TMS治療)

脳卒中の後遺症

脳卒中は脳の血管が詰まったり、破れたりして脳に損傷を与える病気です。脳梗塞、脳内出血、くも膜下 出血の3疾患を合わせて脳卒中と呼びます。脳卒中の患者は年間130万人以上で、年間医療費は約1兆9 千万円にもなる国民病です。そして多くの場合、体がまひ(運動障害)する、後遺症が残ります。突然身体 が動かなくなるため、患者の精神的ショックは大きく、脳卒中になった初期の7割の方はうつ病になります 。

まひ(運動障害)の一般的な治療法は、リハビリテーションになります。しかし、それには限界があり、 発症してから60日までは眼に見えて回復しますが、それを過ぎると回復が鈍くなり、4ヶ月を過ぎるとそ れ以上の回復は見込めなくります。

新たな治療法「頭蓋磁気刺激治療」(TMS治療)

脳卒中の後遺症の治療に、画期的な実績を上げているのは、東京慈恵医大病院の安保雅博医師が行ってい る経頭蓋磁気刺激治療(TMS治療)です。経頭蓋磁気刺激装置という磁気を発生させる機械を使って、頭の上 から運動神経を刺激する方法です。

人間の脳は大きく左右に分かれていて、右の脳は左半身の動き、左の脳は右半身の動きをつかさどってい ます。経頭蓋磁気刺激装置で右の脳に磁気の刺激を与えますと、神経回路を伝わり左半身が動きます。

頭蓋磁気刺激治療(TMS治療)は、損傷を受けていない、正常な側の脳に磁気刺激を与えます。20分間 の磁気刺激治療を受けた後は、1時間のリハビリテーション(CI療法)を行い ます。この治療法により、わずか2週間ほどで驚くべき回復をみせます。そのうえ発症から10年以上たっ た患者さんも、この治療法によって回復します。

頭蓋磁気刺激治療(TMS治療)のメカニズム

人間の脳は右が損傷した場合、反対の左の脳が、動かない右の脳の働きを助けをすると考えられてきまし た。しかし安保雅博医師は逆に、正常な脳が損傷した脳の回復を妨げていると考えました。そのため経頭蓋 磁気刺激装置で、正常な脳の働きを磁気で抑えてみたところ、脳の損傷した部分の周りが、活発に機能しは じめたのです。

頭蓋磁気刺激治療(TMS治療)は、正常な側の脳の働きを磁気刺激により一時的に抑えて、損傷した脳の 機能を回復させるのです。

現在この治療は健康保険適用外ですが、研究段階のため治療費は病院側が負担します。ただし入院費とリ ハビリ費用は患者負担(健康保険適用)になります。

治療の適応基準

上肢(腕と手)のまひ、さらに腕を固定して指が1本でも開く動作ができる、患者さんのみに、この治療 が適応されます。

経頭蓋磁気刺激治療は足のまひには、効果がありません。その理由は手や腕を動かす脳の部分は脳の表面 にあるのに対して、足の運動をつかさどる部分が、脳の奥にあるため、磁気の刺激が十分届かないからです 。このため安保医師は、磁気よりも強い電気刺激による治療方法を現在研究中です。

また脳卒中による失語症に対しても、経頭蓋磁気刺激治療による実績が少なく、効果は未知の部分が多い です。失語症の原因は、言語中枢をつかさどる左側の脳の損傷が原因になります。失語症は身体のまひより も未知の部分が多いですが、現在身体のまひと同じく、正常な右の脳に磁気刺激を与えて、治療を行い一定 の成果をあげています。

関係医療機関 

東京慈恵医大病院 

清水病院(鳥取県)

関連ページ

脳卒中の新しいリハビリ法「CI療法」

画像診断装置PETによる脳疾患の早期発見
(アルツハイマー病 パーキンソン病)

PTEによるアルツハイマー病の診断

高齢化とともに増加するアルツハイマー病やパーキンソン病などの早期発見に、画像診断装置PET(陽電子放射断層撮影)が有効であることが分かってきました。元々、脳機能を観察するために開発された装置で、実際の診療で脳の検査に使う医療機関もあります。

脳は体内で最もブドウ糖を消費する器官です。アルツハイマー病は脳の神経細胞が委縮して、記憶障害が起きる認知症の一種で、委縮した部分の活動が鈍り、ブドウ糖の消費が減ります。PETによる診断は、このブドウ糖の取り込みを調べます。

PET画像では、脳活動の活発な部分が赤色に、逆に活動の低下した部分は青色で表示されます。アルツハイマー病の人の脳は健常な人に比べ、耳側の頭頂部付近の活動が低下していますので、アルツハイマー病の方の画像は青く染まります。

PET診断の特長は、CT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)ではとらえにくい早期のアルツハイマー病を把握できる点です。

全国でも数少ない頭部専用のPETを持つ県西部浜松医療センターでは、過去2年間にアルツハイマー病が疑われる患者約60人を検査して、8割をアルツハイマー病と診断しました。

同センター医長の尾内康臣さん(先端医療技術センター)は「MRI、CTは脳の様子を写真のように映すのは得意だが、外形的な変化が出ていない早期のアルツハイマー病の診断は苦手です。その点、PETは形状変化が表れる前の脳機能の変化を読みとれます」と説明します。

ただ、アルツハイマー病と診断されても、打てる手は多くありません。進行を半年ほど遅らせる抗認知症薬があるほかには、リハビリが試みられている段階です。それでも早期診断できれば、家族らが病気に配慮した適切な接し方ができるうえ、本人にも日常や社会生活での留意点をアドバイスできます。

PTEによるパーキンソン病の診断

手足の震えなどの症状が表れるパーキンソン病の早期診断にも、PETは活用され始めています。

この病気は、脳の神経細胞が変性し、神経伝達物質のドーパミンが減少することで起きます。検査にはブドウ糖の代わりに「CFT」という薬剤を使います。この薬剤は、ドーパミンを作り出す神経細胞に付着するため、薬の集まり具合を見れば、病気の初期でも活動低下の様子が確認できます。

同センターでは、過去1年間に約20人が、この検査でパーキンソン病と診断されました。手足の震えなどの症状が出る前から発症を“予測”することも可能です。ただ、薬剤が特殊なため、検査できる施設は全国でも少ないです。

PETによる脳検査を実施している東京都老人総合研究所付属診療所長の石井賢二さんは「診断で、アルツハイマー病やパーキンソン病の進行を遅らせることが期待できます。治療法の向上によって、普及が進むはず」と語っています。

現状では保険は適用されず、約10~40万円の診断料は全額自己負担か、医療機関が研究費で負担しています。

画像から病状を読みとる技術を備えた医師がまだ少なく、医師の養成も課題になっています。

関係医療機関

県西部浜松医療センター

東京都老人総合研究所付属診療所

ウェルニッケ脳症(ウェルニッケ・コルサコフ症侯群)

ウェルニッケ脳症 は脳の「脚気」(かつけ)

ビタミンB1不足が進むと「脚気」になるが、ダメージを受ける身体の筒所によって、乾性、湿性、脳の3 種類があります。

乾性脚気は末梢神経と筋肉がダメージを受けるケースで、歩行困難、筋肉痛、スクワット(屈伸運動)がで きなくなるなどの症状があらわれます。

湿性脚気は心臓がダメージを受けるケースで、心悸亢進(しんきこうしん)、浮腫による心臓の肥大、呼 吸困難などの症状があらわれます。最終的には、うっ血性心不全で死にいたります。

脳にダメージが発生したケースが脳脚気で、とりわけ、アルコール依存症患者がウェルニッケ脳症(ウェ ルニッケ・コルサコフ症侯群とも)を発症しやすいです。

ウェルニッケ脳症には3つの特徴的な症状があります。目の玉が一点を見つめたまま動かなくなる(眼球運 動麻痺)、歩行がおぼつかない(歩行異常)、場所や時間、人物などがわからなくなる(記憶障害)などです。こ の記憶障害をコルサコフ精神病と呼んでいます。

ほとんどのウェルニツケ脳症患者は、アルコール依存症患者ですが、胃がんやエイズ患者にもみられます 。

ウェルニッケ脳症患者はみな、ビタミンB1が不足しています。その証拠に、B1を静脈注射すると、眼球運 動麻痺が迅速に改善します。しかし、歩行異常や記憶障害の改善はそう単純ではありません。回復度合いは 、症状のあらわれた期間が長びくほど悪化します。

最近の研究で、ウェルニッケ脳症では、脳の特定の箇所にフリーラジカルによるダメージが発生している ことが発見されました。このことから、ビタミンB1不足によって脳のダメージが起こる際に活性酸素がかか わっていることが推測できます。

ビタミンB1不足の原因

ビタミンB1不足は、B1の摂取不足以外にも、B1要求の増加、B1の人体からの過剰排泄、食事からの抗チア ミン(ビタミンB1)因子の摂取などによっても起こります。

アルコールを多量に摂取しますと、食物をしっかり食べない傾向があるので、ビタミンB1の摂取不足にお ちいりやすいです。しかも飲酒によって、ビタミンB1の腸管からの吸収が妨げられますから、さらに不足し やすくなります。酒を飲むと記憶がおぼつかなくなるという人は、ビタミンB1不足かもしれません。

糖類の代謝にはビタミンB1が大量に消費されるので、糖類をたくさん食べる人も不足しやすくなります。 激しい運動や発熱、妊娠、授乳、思春期の成長の際にも、多くのビタミンB1が消費されます。

利尿剤を服用すると、ビタミンB1の腎臓における再吸収が妨げられるばかりか、尿中への排泄が進みます 。アルコールをたくさん飲んだときも、尿量が増えるためビタミンB1の排泄が促進されます。茶、コーヒー 、ベテルナッツには抗チアミン(ビタミンB1)因子が含まれているため、多く摂るほどビタミンB1は失われ ます。

ハマグリやアサリなどの貝類、ワラビやゼンマイなどの山菜を生で食べると、B1がこれらの食物に含まれ るチアミナーゼによって壊されます。この場合は、加熱調理して食べればいい。チアミナーゼは加熱によっ て不活性化するので、B1の分解を防ぐことができます。

ウェルニッケ脳症の治療法

ビタミンB1を投与することにより、早めに治療を始めるのが一般的です。数日間ビタミンB1を1日100 0ミリグラムほど静脈注射し、その後は150ミリグラムほど内服で補充する場合が多いです。

アルコール依存になっている方が多いので、アルコール依存に対するリハビリテーションや、末梢神経障 害が併発することがあるのでリハビリテーションが必要となることがあります。

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