通導散(つうどうさん)


通導散(つうどうさん)

通導散(つうどうさん)の効能

体力中等度以上で、下腹部に圧痛があり、便秘しがち、胸脇苦満などのある人に用います。婦人科疾患や皮下出血などに応用します。


スポンサードリンク


適応される主な症状

  • めまい
  • 月経不順、月経痛
  • 更年期障害
  • 打撲

配合生薬

配合生薬の効能

大黄(だいおう)

大黄は瀉下(下剤)、消炎性健胃薬として、常習性便秘症に使用されます。

ジアンスロン成分であるセンノサイドA-Fに瀉下作用が認められます。センノサイドA-Fは腸内細菌によって強い瀉下活性を示すレインアンスロンに変換されるからです。

フェノール配糖体の一種リンドレインには消炎、鎮痛作用が認められています。またタンニン成分に、血中尿素窒素(BUN)低下作用が報告されていることから、腎不全改善効果も期待されます。

漢方では、特に実証の人(体力がある人)の便秘薬として他の生薬と配合して高い効果をあげていますが、大黄には子宮収縮促進作用や骨盤の充血増長作用があるため、産前、産後や月経期間中は使用しない方がいいです。

枳実(きじつ)

ダイダイの果皮を橙皮といって、健胃薬、風邪薬として利用されます。有効成分は精油成分のリモネンです。リモネンには中枢抑制、末梢血管収縮、胆汁分泌促進、血清コレステロール低下作用などが知られています。

未熟果実を枳実といって、やはり健胃薬とする他、下痢止め、去痰、排膿薬として利用されます。効能は橙皮と同様、主として精油成分による他、フラボノイドのヘスペリジン、アルカロイドのシネフリンなどに由来します。枳実の水性エキスは動物実験で、胃腸運動の充進・抗炎症・抗アレルキー作用を示すことが明らかにされています。

枳実より採集時期が1~2ヵ月遅く、やや大型のものを枳殻といいます。

当帰(とうき)

婦人病の妙薬として、漢方でひんぱんに処方される重要生薬の一つです。漢方では古来、駆お血(血流停滞の改善)、強壮、鎮痛、鎮静薬として、貧血、腰痛、身体疼痛、生理痛生理不順、その他更年期障害に適用されています。

茎葉の乾燥品は、ひびやしもやけ、肌荒れなどに薬湯料として利用されています。鎮静作用はリグスチライド、ブチリデンフタライド、セダン酸ラクトン、サフロールなどの精油成分によります。また有効成分アセチレン系のファルカリンジオールに鎮痛作用があります。

駆お血効果を裏付ける成分として、血液凝固阻害作用を示すアデノシンが豊富に含まれています。また、アラビノガラクタンなどの多糖体に免疫活性作用や抗腫瘍作用が認められ、抗ガン剤としての期待も、もたれています。

芒硝(ぼうしょう)

芒硝には緩下作用、血液凝固抑制作用などがあります。漢方では緩下、消化、利尿薬として便秘、腹満、心腹部に抵抗のあるものに処方されています。

成分は硫酸ナトリウムです。

厚朴(こうぼく)

厚朴には、抗菌作用、鎮痙作用、健胃作用などがあります。漢方として収斂(組織を引き締め作用)、利尿、去痰の目的に胸腹部膨満感、腹痛、咳などに使用されています。

厚朴にはアルカロイドのマグノクラリン、精油のマキロール、ホオノキオール、マグノロールなどが含まれています。

厚朴のマグノロールには大腸菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える働きが報告されています。またマグノロールとホオノキオールには中枢性筋弛緩作用が認められています。

陳皮(ちんぴ)

陳皮はミカンの皮を、天日乾燥させた物です。リモネン、テルピネオールといった芳香性のある精油成分を豊富に含んでいるため、胃液分泌促進作用、胃運動亢進作用や抗炎症、抗アレルギー作用があります。漢方では、芳香性健胃薬や駆風(腸管にたまったガスを排出)、食欲増進、吐き気止めなどを目標に処方されます。

また、精油成分には一般に発汗作用があり、初期の風邪などに効果があります。入浴剤として利用すると血行をよくし、肌を滑らかにします。

木通(もくつう)

木通の成分は配糖体のアケビン、サポニン、多量のカリ塩などが含まれており、尿の出をよくしてむくみをとります、また血行改善、排膿、通経などに使われてきました。

漢方処方では、冷え症、腰痛、生理不順、子宮内膜炎、膀胱炎などに使用、脚気にも尿を増やす目的で与え、妊婦の浮腫にも用います。

紅花(こうか)

紅花の主な薬効は血流をよくする作用で、漢方治療では婦人病や更年期の血行障害、冷え性、高血圧などに用いられます。

煎液には血流量増加作用がある他、動物実験で、血圧降下作用が認められます。この血圧降下作用は、血圧上昇の原因物質アンジオテンシン変換酵素を阻害することによって起こります。マクロファージの活性化やインターフェロン誘起作用が認められ、免疫活性作用が期待されます。

また、水やアルコール抽出エキスに、抗炎症作用および鎮痛作用が認められる他、マウスのエールリッヒ腹水ガンに対する抑制作用も報告されています。これら作用は主成分である紅色色素のカルタミンやフラボノイドのカルタミジンが関与しているものと、推測されています。

紅花の花や種子中に含まれるリノール酸には、コレステロールの蓄積による動脈硬化症の予防および治療効果があります、このため近年食用油として紅花(ベニバナ)油がよく使われています。

また紅花は昔から記憶力をよくするともいわれていますので、老化にともなう痴呆症にも効果が期待されています。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。


スポンサードリンク


漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用


うつ病に処方される漢方薬

脳卒中(脳血管障害)に処方される漢方薬

不眠症に処方される漢方薬

物忘れ認知症に処方される漢方薬


スポンサードリンク


↑ トップページ