心の興奮を鎮める
甘麦大棗湯を構成する3つの生薬にはいずれも鎮静作用が期待されます。心身の興奮状態を鎮めて、不安定な状態を改善させるのが、この薬の主な働きです。
漢方では、「五臓」の「心」に、意識を保ち、精神を安定させる働きがあるとされています。そして、その働きが衰えると、イライラや不安、不眠などが現れると考えます。
甘麦大棗湯は、そうした「心」の失調状態のときに用いられる処方です。腹直筋の緊張や筋肉のけいれん、生あくびなどがみられる人もいます。
女性や子どもの精神不安
甘麦大棗湯は女性によく用いられる薬で、神経症、不眠症、うつ状態、更年期障害、白律神経失調症などによく処方されます。
興奮、不眠、不安、あるいは悲観的な言動などが処方の目安です。また、子どもの夜泣きやひきつけにも用いられます。甘い味で、子どもにも飲ませやすい薬です。
「甘草」の副作用でむくみや血圧上昇などが起こることがあります。アルドステロン症、ミオパシー(筋肉障害)、低カリウム血症のある人は使用できません。