アルツハイマー型認知症


アルツハイマー型認知症

脳内のアミロイドβという異常なタンパク質

「アルツハイマー病」とは、この病気についてはじめて報告した、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーにちなんでつけられた名前です。

認知症といえば、「アルツハイマー病」を思い浮かべる方もいるでしょう。認知症の多くは、アルツハイマー型認知症なのです。

アルツハイマー病になると、脳の中にアミロイドβという異常なタンパク質が沈着して、「老人斑」(ろうじんはん)というシミができ、「神経原線維変化」(いしんけいげんせんいへんか)というねじれた神経線維の束が生じて、脳が萎縮していきます。

このアミロイドβの沈着が、神経細胞の死滅に大きく関わっていることがわかってきました。また、脳の萎縮とともに、情報をやり取りする神経伝達物質のアセチルコリンなども減少していきます。


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アルツハイマー型認知症は年齢が危険因子

アルツハイマー型認知症は、40歳から90歳までの間に発症し、とくに65歳以上に多く見られます。

高齢になるにつれて患者が増加する、つまり年齢が危険因子となるのが、アルツハイマー型認知症なのです。

記憶障害から発症することが多く、徐々に進行していきます。もし進行が少ないのであれば、アルツハイマー型認知症の可能性は低くなります。

同じことを何度も聞いたり、もののしまい忘れがひどくなったりして、家族などが気づくことが多いのですが、その症状が何年たってもあまり悪化しないのであれば、年齢にともなう心配のない、もの忘れの可能性が高くなります。

また、自分のもの忘れを自覚していないのも、アルツハイマー型認知症の特徴のひとつです。そのため、自分がしまい忘れたのに人のせいにしたり、そんな場所に置いた覚えはないと言い張ったりします。

病院を受診するのが遅れがちなのも、このような病気の特徴が影響しているからだといえるでしょう。

また、アルツハイマー型認知症では、歩けなくなる、足がしびれるなどという身体的な症状は、病気が進行して、末期の段階になるまで出てこないのが、一般的な傾向です。

したがって、軽度のもの忘れで歩行障害などが見られるときは、ほかの病気を併発しているか、アルツハイマー型認知症以外の病気である可能性も、考えなければなりません。

アルツハイマー型認知症の危険因子

「年齢を重ねても、健康なからだと若々しい脳を持ち続けたい」とは、だれもが当然願うことでしょう。しかし、残念なことに、80歳を超える高齢になると、認知症になる人が増えてきます。

その一方で、90歳を過ぎても頭脳明断で、趣味を楽しみながら、元気に暮らしている高齢者も大勢います。その差は、いったいどこから生じるものなのでしょうか。

そこで、アルツハイマー型認知症の危険因子と考えられているものをまとめました。

発症と関係があるとされているのは、次の3つです。

加齢

認知症の最大の危険因子です。65歳から90歳までの人を見ると、アルツハイマー型認知症の有病率は、年齢が5歳上がるごとに倍増していくといわれています。

生活習慣病

最近の疫学調査の結果、中年期に高血圧や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)などの生活習慣病にかかると、高齢になったときに、アルツハイマー型認知症になりやすいことがわかってきました。

中年期に最大血圧160㎜/hg以上だった人は、血圧が正常だった人に比べて、アルツハイマー型認知症の危険性が2.3倍になるという報告があります。

また、中年期のコレステロール値が260㎎/dl以上の脂質異常症だった人は、正常な人に比べて、危険性が2.1倍になるという調査結果もあります。

さらに、高血圧と脂質異常症の2つの要素を持っていると、1つだけの場合に比べて、3.5倍もアルツハイマー型認知症になりやすくなるといわれています。

遺伝

親や兄弟に複数のアルツハイマー型認知症患者がいる人は、そうでない人よりも発症の危険性が高まることが、報告されています。

また、アポE-4型のタンパク質遺伝子を持つ体質を受け継ぐと、アルツハイマー型認知症のリスクになる可能性があるとされています。

そのほかにも、喫煙や過度の飲酒、頭部外傷の既往など、アルツハイマー型認知症の危険因子はいろいろ指摘されていますが、詳しい因果関係はまだよくわかっていません。

認知症を予防するためには、危険因子をできるだけ減らすように心がけましょう。

生活習慣病の予防

加齢や遺伝などは、自分ではどうすることもできません。しかし、生活習慣病のリスクを下げることは、努力次第で可能になるでしょう。

そのためには、食生活を見直すことが大切です。

抗酸化物質の多い食品をとる

体内に活性酸素が多くなると、細胞が早く老化することが、指摘されています。これは、アルツハイマー型認知症のリスクを高めることにもつながります。

活性酸素を減らすには、抗酸化物質が豊富な食品を多くとることを心がけましょう。

具体的にいうと、ビタミンやミネラル、ポリフェノールが豊富な食品です。たとえば、緑黄色野菜をたっぷり使ったメニューが、脳にうれしい食事といえるでしょう。

バランスのよい食事をする

脳の健康のためには、魚を中心にしたメニューがおすすめです。魚に含まれる不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、血栓予防や抗炎症作用が認められています。とくに、DHAは、脳や神経組織の機能維持に欠かせない成分で、認知症の予防にも効果があるとされています。

しかし、肉も良質のタンパク質を含んでいますので、血管の健康には欠かせません。大切なのは、魚や肉も含めて、さまざまな食品をバランスよくとることなのです。

毎目を生き生きと過ごすことも予防になる

食生活の見直しだけでなく、適度な運動の習慣を持つことも必要です。

また、人と積極的に交流したり、趣味を楽しんだりすることが、脳の活性化につながります。

これさえ実行すれば認知症にならない、という方法は、今のところ存在しません。

からだと心の健康に注意して毎日を生き生きと過ごすことが、認知症のリスクを下げることにつながると考えるべきでしょう。

その他の認知症

脳血管性認知症

レビー小体型認知症

前頭側頭型認知症

若年性認知症

物忘れ認知症に効果効能があるサプリメント

EPA(IPA) DHA

イチョウ葉

カンカ

高麗人参(朝鮮人参)

ビタミンB群

ビタミンE

レシチン

サプリメント選びのワンポイント・アドバイス

EPA(IPA) DHAは脳の神経細胞を成長させるホルモンNGF(神経成長因子)の生産に欠かせません、またアルツハイマーの引き金になる脳内の炎症を抑えます。

イチョウ葉は血管を拡張して脳を覚醒させて記憶力を高めます。

カンカは血液を固まりにくくして血行を良くします。

高麗人参(朝鮮人参)は有効成分のジンセニシドがアセチルコリンを放出させます。

ビタミンB郡のビタミンB1は脳の働きを活発にして、ビタミンB6ビタミンB12は「頭のビタミン」と呼ばれ脳に欠かせないビタミンです。

ビタミンEは抗酸化効果がありコレステロールも減らして脳の血行を改善します。

レシチンは脳の伝達神経のアセチルコリンの原料になります。

サプリメント以外での予防改善

食事面ではEPA(IPA) DHAやビタミンE、レシチンを含んだ食品を使ってバランスの良い食事を摂ってください。

EPA(IPA) DHAやビタミンEはイワシやサバ、サンマ、マグロなどに含まれています、またレシチンを含んだ食品は納豆や豆腐などの大豆食品です。

普段の生活では人づき合いや趣味などで、人生を積極的に楽しむように努めましょう

物忘れ認知症に関連する治療法

特発性正常圧水頭症による痴呆の手術療法

パーキンソン病の脳深部刺激療法

手術による「てんかん」治療

メニエール病(目まい)の治療「早期の生活改善」と「薬物療法」

ウェルニッケ脳症(ウェルニッケ・コルサコフ症侯群)


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物忘れ認知症に処方される漢方薬

認知症の治療では、漢方薬は幻覚や徘徊などの周辺症状(BPSD)をやわちげる目的で用いられます。代表的な漢方薬が抑肝散(よくかんさん)釣藤散(ちょうとうさん)です。

幻覚や妄想、睡眠障害といった興奮性の精神症状は、漢方では「肝」の失調ととらえられ、抑肝散(よくかんさん)や釣藤散(ちょうとうさん)が適応となる証に合致します。

抑肝散(よくかんさん)は、一般に虚弱な体質で神経が高ぶっているような人に用いられる漢方薬ですが、アルツハイマー病などにともなう同様の症状の改善にも役立ちます。

釣藤散(ちょうとうさん)は、一般に高血圧傾向で、慢性の緊張型頭痛がある人などに使われる漢方薬です。血流改善作用があることも知られており、血管性認知症にともなう元気のなさや興奮性の症状などに用いられています。

漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。

「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。

  • 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
  • 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
  • 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します。

自分の証を調べるには「証」の自己判定テストをご利 用ください。

実証

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
    認知症、脳血管障害、神経症などに用いられます。のぼせ、顔の赤み、目の充血、不眠、頭痛、動悸、イライラ、めまい、口渇、吐き気、みぞおちや胃のつかえ感などがみられる場合に有効です。黄連や黄ごん(おうごん)には、不安などの精神症状を改善したり、充血や炎症を抑える効果があります。

中間証

  • 釣藤散(ちょうとうさん)
    慢性的な頭痛に用いられます。血管拡張作用があり、中年以降の人の高血圧や動脈硬化の改善に効果があります。

虚証

  • 抑肝散(よくかんさん)
    認知症にともなう不眠や神経症に用いられます。寝つきが悪い、神経過敏、興奮しやすい、怒りっぽい、まぶたや顔の筋肉のけいれんなどがある場合に効果があります。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    おもに女性の貧血、更年期障害などに用いられます。足腰の冷え、貧血、疲労感、血行不良、下腹部痛などがある場合に有効です。
  • 加味帰脾湯(かみきひとう)
    認知症にともなう不眠や精神症状のほか、神経症、貧血、自律神経失調症の改善に用いられます。精神不安、動悸、寝汗、疲労倦怠などがある場合に効果があります。
  • 加味温胆湯(かみうんたんとう)
    不眠やうつ症状、物忘れによいとされ、とくに軽度の認知症に有効とされています。保険適用漢方薬には含まれない、一般用漢方処方です。

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