物忘れ認知症ページの目次
1.物忘れ認知症の原因
2.アルツハイマー型認知症
3.脳血管性認知症
4.レビー小体型認知症
5.前頭側頭型認知症
6.若年性認知症
7.物忘れ認知症の対策
8.物忘れ認知症に効果効能があるサプリメント
9.サプリメント以外での予防改善
10.物忘れ認知症に関連する治療法
11.物忘れ認知症に処方される漢方薬
1.物忘れ認知症の原因
物忘れは老化現象による記憶力の低下の健忘症と病気に分類される認知症とに分かれます。
・健忘症
健忘症(記憶力の低下)の原因は、加齢による脳の神経伝達機能の低下によるものです。
・認知症
健忘症は単に記憶力の低下ですが、認知症は自分の家族の顔すらも忘れるなどの見当識障害です。
認知症は脳血管性とアルツハイマー型に大別できます。
脳血管性認知症の原因は脳血管の動脈硬化により脳梗塞や脳内出血を起こしたあと、血行が悪くなったことにより脳機能が衰えたものです。
アルツハイマー型認知症の原因は、アミロイドβの沈着や脳の記憶をつかさどる海馬の付近のアセチルコリン神経の脱落によるものです。
そのほかレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症、若年性認知症などがあります。
認知症の種類
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2.アルツハイマー型認知症
脳内のアミロイドβという異常なタンパク質
「アルツハイマー病」とは、この病気についてはじめて報告した、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーにちなんでつけられた名前です。
認知症といえば、「アルツハイマー病」を思い浮かべる方もいるでしょう。認知症の多くは、アルツハイマー型認知症なのです。
アルツハイマー病になると、脳の中にアミロイドβという異常なタンパク質が沈着して、「老人斑」(ろうじんはん)というシミができ、「神経原線維変化」(いしんけいげんせんいへんか)というねじれた神経線維の束が生じて、脳が萎縮していきます。
このアミロイドβの沈着が、神経細胞の死滅に大きく関わっていることがわかってきました。また、脳の萎縮とともに、情報をやり取りする神経伝達物質のアセチルコリンなども減少していきます。
アルツハイマー型認知症は年齢が危険因子
アルツハイマー型認知症は、40歳から90歳までの間に発症し、とくに65歳以上に多く見られます。
高齢になるにつれて患者が増加する、つまり年齢が危険因子となるのが、アルツハイマー型認知症なのです。
記憶障害から発症することが多く、徐々に進行していきます。もし進行が少ないのであれば、アルツハイマー型認知症の可能性は低くなります。
同じことを何度も聞いたり、もののしまい忘れがひどくなったりして、家族などが気づくことが多いのですが、その症状が何年たってもあまり悪化しないのであれば、年齢にともなう心配のない、もの忘れの可能性が高くなります。
また、自分のもの忘れを自覚していないのも、アルツハイマー型認知症の特徴のひとつです。そのため、自分がしまい忘れたのに人のせいにしたり、そんな場所に置いた覚えはないと言い張ったりします。
病院を受診するのが遅れがちなのも、このような病気の特徴が影響しているからだといえるでしょう。
また、アルツハイマー型認知症では、歩けなくなる、足がしびれるなどという身体的な症状は、病気が進行して、末期の段階になるまで出てこないのが、一般的な傾向です。
したがって、軽度のもの忘れで歩行障害などが見られるときは、ほかの病気を併発しているか、アルツハイマー型認知症以外の病気である可能性も、考えなければなりません。
3.脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血が原因
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因となって起こる認知症を、「脳血管性認知症」と呼びます。
根治療法が確立されていないアルツハイマー型認知症と異なり、脳血管性認知症の場合は、原因となる病気への対策がある程度立てられます。
しかし、一度病気にかかり、対処が遅れれば、脳細胞がダメージを受けて、再生不能となってしまいます。
適切な予防と治療のために、この病気の特徴を把握しておきましょう。
過去に脳血管障害のどんな病歴がある
まず、認知症の症状が現れる前に、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害にかかっていた例が多く見られます。
たとえば、3年前に脳梗塞で入院した人が、二度目の脳梗塞の発作を起こしたときに、認知症が疑われるようになった、という事例がよくあります。
また、脳血管性認知症では、脳血管障害を起こすたびに、症状が段階的に悪化していきます。
実行機能に障害が起きる
自分がすでに持っている技術や知識を使うことが難しくなり、日常生活に困難が生じます。
たとえば、朝の着替えのときに何を着たらよいのかわからなくなったり、ズボンやシャツを後ろ前に着ようとしたりします。
ボタンを掛け違えたり、どのようにファスナーを閉めればよいかがわからなくなったりすることもあります。
脳血管性認知症の場合は、もの忘れよりも、このような判断力の低下によって日常の実行機能に障害が出ることで、まわりの人が気づくケースが多いといえます。
思考に時間がかかる
何か尋ねても、答えが出るまでに時間がかかるようになります。
たとえば、「今日は何日」と問いかけても、なかなか答えられず、聞いたことを忘れてしまったのかな、と思ったころに答えが返ってくるという具合です。
アルツハイマー型認知症の場合は、知識そのものが失われることが多いのですが、脳血管性認知症の場合は、知識が失われているのではなく、その知識を引き出すのに時間がかかってしまうのです。
日常の実行機能障害も、ゆっくり待ってあげれば、いろいろなことができる場合が少なくありません。
感情の起伏が激しくなる
アルツハイマー型認知症でも同じような症状が見られますが、涙もろくなったり、怒りっぽくなったり、感情の起伏が激しくなるケースが多く見られます。
反対に、無気力になって意欲が低下することも、よくあります。
脳血管障害の危険因子を持つ
脳血管障害をまだ発症していなくても、その危険因子を多く持っていれば、リスクが高いということになります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症、心疾患、肥満、喫煙や飲酒などが、危険因子です。
生活習慣に気を配ることが、脳血管性認知症の予防につながるといえるでしょう。
アルツハイマー型認知症を併発
認知症の診断をするときに、それがアルツハイマー病によるものか、脳血管障害によるものかを見きわめるのは、簡単なことではありません。
なぜなら、脳血管性認知症と診断される人のなかには、アルツハイマー型認知症を併発している人が、かなりの割合でいるからです。
反対に、アルツハイマー型認知症と診断された人のなかにも、脳血管性認知症を併発している人がいます。
アルツハイマー型認知症に脳血管性認知症を併発している状態は、「混合型認知症」と呼ばれています。
混合型認知症は、どちらか一方だけの認知症よりも、症状がひどくなることがあります。
4.レビー小体型認知症
大脳皮質にレビー小体が出現して発症
アルツハイマー型認知抹に症状が似ていて、まちがえられやすいのが、「レビー小体型認知症」です。
「レビー小体」とは、脳の神経細胞内にできる、変異型のタンパク質を含む沈殿物です。
パーキンソン病の患者の脳幹部に見られることが知られていましたが、現在では、それ以外にもさまざまな疾患にともなって出現することがわかっています。
レビー小体型認知症になると、レビー小体が大脳皮質の広範囲に出現します。
最近の研究では、これまでにアルツハイマー型認知症と診断された人も、10人に1人くらいの割合で、レビー小体型認知症の可能性があると報告されています。症状の特徴は、次のようなものです。
手足がふるえる
レビー小体型認知症では、初期の段階から手足がふるえたり、動きが緩慢になったりする、パーキンソン病のような症状が多く見られます。
そのため、アルツハイマー型認知症にパーキンソン病を併発している、と診断されることがあります。
それに対して、アルツハイマー型認知症の場合は、末期にならないと、身体的症状は出てきません。身体的症状の現れる時期が、両者の違いだといえるでしょう。
日によって症状が変化する
患者のその日の状態によって、症状にばらつきが見られるのが、レビー小体型認知症の大きな特徴です。
状態がよいときと悪いときでははっきりとした差が見られ、それが交互に起こります。
たとえば、ぐっすり眠って起床したときや、昼寝の直後などは、十分に覚醒していないので、症状が強く出ることがあります。
しかし、少し時間がたつと、別人のようにしっかりした態度になったりするのです。
また、同じ薬を服用していても、調子のよい日と悪い日があり、変化が予測できないこともあります。
幻視が反復する
レビー小体型認知症の代表的な症状として、「幻視」をあげることができます。幻視とは、そこにないものが見えるということです。
たとえば、「夜になると知らない人が家に入ってきて、勝手に台所で料理をしている」「鎌倉時代のよろいを着けた武士が見える」などとありえないことを言ったりします。
また、室内の置物が猫に見えたり、椅子が犬に見えたりするという例も聞きます。
5.前頭側頭型認知症
「前頭側頭葉変性症」(ぜんとうそくとうようへんせいしょう)
非アルツハイマー型認知症で、前頭葉や側頭葉に萎縮が見られるものを総称して「前頭側頭葉変性症」(ぜんとうそくとうようへんせいしょう)と呼んでいます。
さらに、前頭側頭葉変性症は、「前頭側頭型認知症」「意味性認知症」「進行性非流暢性失語」の3つの病気に分けられています。
なかでも多く見られるのが、アルツハイマー型認知症と誤診されやすい「前頭側頭型認知症」です。
65歳未満で発症することが多い
大多数の患者が、65歳未満で発症しています。潜在的に発症して、ゆっくりと確実に悪化していきます。
反社会的な行動
発症直後から反社会的な行動をとるようになります。周囲の人からは「困った人」「わがままな人」と見られがちで、対人関係が破綻してしまう例がしばしば見受けられます。
また、自分の行動に抑制がきかなくなることもあります。人間的なあたたかさも失われ、思いやりに欠ける言動を、平気ですることがあります。
他人の意見を聞かなくなり、自分勝手なふるまいが多くなります。
行動がワンパターン
毎日同じものを食べたり、ワンパターンな行動を続けたりする例が、多く見られ、同じ洋服を毎日着たり、用もないのに同じ場所へ通い続けたりするのです。
症状がかなり進行するまで、自分の置かれた状況や場所に対する認識(見当識)は失われないので、外出先から帰れなくなることは、あまりないようです。
6.若年性認知症
働きさかりでの発症
「若年性認知症」ということばを、耳にしたことのある方もいるでしょう。しかし、「若年性認知症」という医学的な病名はありません。
アルツハイマー型認知症か、脳血管性認知症かにかかわらず、65歳未満の人にもの忘れや言語障害などの認知機能障害が現れれば、若年性認知症と呼ぶのです。
それほど多い病気ではありませんが、働きざかりで認知症状が出れば、その後の人生に影響を与え、家族を巻き込む大きな問題になるでしょう。
仕事を持つ人が認知症になると、ある日突然大事な会議をすっぽかしたり、いつも通っていた得意先の場所がわからなくなったりすることがあります。
そのような認知機能障害は、会社や同僚には、なかなか理解してもらえず、最終的には解雇されることも、よくあります。
本人や家族にとって、精神的なショックはもちろん、経済的にも深刻な状況に陥ることは、目に見えています。
また、年齢が若いことによって起こる間題は、ほかにもあります。
40歳以上であれば介護保険が適用されますが、65歳未満を受け入れる介護施設は、数が限られてきます。デイサービスなどを受けることも、なかなか難しいでしょう。
若年性認知症の患者や家族は、きめ細かく相談に応じてくれる体制や、支援を強く望んでいます。
家族会の充実も必要でしょう。高齢者の認知症だけでなく、若年性認知症患者への対策も、緊急を要する大きな課題だといえます。
働きざかりに多い前頭側頭葉変性症「ピツク病」
「ピツク病」も、最近新聞やテレビなどにしばしば登場する病名です。その定義や、診断的位置づけはまだ混乱しています。
ピツク病は、前頭側頭葉変性症のひとつです。
初期には記憶障害はあまり見られませんが、人のことを考えずに自分勝手な言動をしたり、物事に無関心になったり、まるで性格が変わったようになる例が多く見られます。
人格面では、他人をバカにする、無視する、うそをつく、攻撃的になる、自己中心的で反省しない、などの特徴が現れます。
行動面では、万引きや無銭飲食、徘徊、放浪などの反社会的な行動が見られます。
感情も不安定で、不機嫌なことが多く、人とけんかをすることもしばしばです。逆に、無感情で無表情になることも、よくあります。
このようにあげると、ピック病の症状は、前頭側頭型認知症の特徴と一致することがわかるでしょう。
家族や地域社会に大きな迷惑をかけることも多く、家庭での介護は非常に難しくなります。
さまざまな問題行動は、本人の人格が変わったためではなく、あくまでも病気が原因であることを理解したうえで、介護について適切な対策を立てる必要があります。
7.物忘れ認知症の対策
物忘れの対策としては、脳に必要な栄養補給と血行の促進がポイントになります。
8.物忘れ認知症に効果効能があるサプリメント
サプリメント選びのワンポイント・アドバイス
EPA(IPA) DHAは脳の神経細胞を成長させるホルモンNGF(神経成長因子)の生産に欠かせません、またアルツハイマーの引き金になる脳内の炎症を抑えます。
イチョウ葉は血管を拡張して脳を覚醒させて記憶力を高めます。
カンカは血液を固まりにくくして血行を良くします。
高麗人参(朝鮮人参)は有効成分のジンセニシドがアセチルコリンを放出させます。
ビタミンB郡のビタミンB1は脳の働きを活発にして、ビタミンB6とビタミンB12は「頭のビタミン」と呼ばれ脳に欠かせないビタミンです。
ビタミンEは抗酸化効果がありコレステロールも減らして脳の血行を改善します。
レシチンは脳の伝達神経のアセチルコリンの原料になります。
9.サプリメント以外での予防改善
食事面ではEPA(IPA) DHAやビタミンE、レシチンを含んだ食品を使ってバランスの良い食事を摂ってください。
EPA(IPA) DHAやビタミンEはイワシやサバ、サンマ、マグロなどに含まれています、またレシチンを含んだ食品は納豆や豆腐などの大豆食品です。
普段の生活では人づき合いや趣味などで、人生を積極的に楽しむように努めましょう
10.物忘れ認知症に関連する治療法
メニエール病(目まい)の治療「早期の生活改善」と「薬物療法」
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11.物忘れ認知症に処方される漢方薬
認知症の治療では、漢方薬は幻覚や徘徊などの周辺症状(BPSD)をやわちげる目的で用いられます。代表的な漢方薬が抑肝散(よくかんさん)や釣藤散(ちょうとうさん)です。
幻覚や妄想、睡眠障害といった興奮性の精神症状は、漢方では「肝」の失調ととらえられ、抑肝散(よくかんさん)や釣藤散(ちょうとうさん)が適応となる証に合致します。
抑肝散(よくかんさん)は、一般に虚弱な体質で神経が高ぶっているような人に用いられる漢方薬ですが、アルツハイマー病などにともなう同様の症状の改善にも役立ちます。
釣藤散(ちょうとうさん)は、一般に高血圧傾向で、慢性の緊張型頭痛がある人などに使われる漢方薬です。血流改善作用があることも知られており、血管性認知症にともなう元気のなさや興奮性の症状などに用いられています。
漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。
「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。
- 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
- 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
- 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します。
自分の証を調べるには「証」の自己判定テストをご利 用ください。
実証
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
認知症、脳血管障害、神経症などに用いられます。のぼせ、顔の赤み、目の充血、不眠、頭痛、動悸、イライラ、めまい、口渇、吐き気、みぞおちや胃のつかえ感などがみられる場合に有効です。黄連や黄ごん(おうごん)には、不安などの精神症状を改善したり、充血や炎症を抑える効果があります。
中間証
- 釣藤散(ちょうとうさん)
慢性的な頭痛に用いられます。血管拡張作用があり、中年以降の人の高血圧や動脈硬化の改善に効果があります。 - 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) 抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散(よくかんさん)に陳皮と半夏を加えて、大人向きにしたものです。
虚証
- 抑肝散(よくかんさん)
認知症にともなう不眠や神経症に用いられます。寝つきが悪い、神経過敏、興奮しやすい、怒りっぽい、まぶたや顔の筋肉のけいれんなどがある場合に効果があります。 - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
おもに女性の貧血、更年期障害などに用いられます。足腰の冷え、貧血、疲労感、血行不良、下腹部痛などがある場合に有効です。 - 加味帰脾湯(かみきひとう)
認知症にともなう不眠や精神症状のほか、神経症、貧血、自律神経失調症の改善に用いられます。精神不安、動悸、寝汗、疲労倦怠などがある場合に効果があります。 - 加味温胆湯(かみうんたんとう)
不眠やうつ症状、物忘れによいとされ、とくに軽度の認知症に有効とされています。保険適用漢方薬には含まれない、一般用漢方処方です。
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